4 そ ページ5
ふわり
風がなにかの演出のようにタイミングよく吹く。乾燥した風が部屋を循環していった。
「……………名を名乗れ」
目の前にいる白銀の色をした髪の猫の獣人族に問いかける。女は、俺と同じエメラルドグリーンの大きな瞳をみせた。
顔は小さく、猫耳と尻尾は白い。
背の高さは155cmといったところだ。
思ったよりも上物。流石、むかし名門家に名を連ねた血筋の子供だと思う。
人目で分かる。滲み出る品格の良さ。そして
男を飽きさせることの無い
おわれる女(草食動物)の体質だ。
『………名前は……ルーナです』
「そんな事は知ってる。ルーナ家の人間だろ？お前の本名を教えろって言ってんだ」
俺が再度問うと、女は首を横に振る。
「…………名が無いわけねェよな」
そう言っても女は口を開かなかった。
王族の命令が聞けないなんていい度胸だ。と言ってやりたいところだが………
「言えない事情でもあるのか？」
『………………はい……』
優しい口調で聞いてやると、女は少しだけ警戒心を解いたのかすぐに答えた。
逆だっていた尻尾の毛が徐々に元に戻る。
「なら、これからはルーナって呼んでやる」
俺は立っているのがダルくて、大きな窓の外が見える場所にあるソファーに横になった。
そのままの体勢で、ルーナに鍵を投げる。
ピンッ 金属の音が鳴った
『……これはどこの鍵でしょうか。主様』
鍵を受け取ったルーナがそう言う。
「おい待て、その主様って言うのやめろ」
ではなんとお呼びすれば？という言葉は、最後まで言わせなかった。間髪を入れずに無表情でルーナのことをじっと見る。
「いいか？俺の事はレオナでいい」
『レオナ………』
「正直なんでもいいだがな。それは風呂の鍵だ。その泥汚れを落としてこい｣
ルーナは戸惑いながらお辞儀をすると、部屋を静かに出ていった。
「………ルーナ……兎みてぇな女だな」
ニヤリと唇を歪ませる俺の姿が窓ガラスに揺らめいて映っていた。
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華麟(プロフ) - オレオレオさん» ご指摘ありがとうございます。訂正しました。 (2020年12月15日 22時) (
レス) id: 75feb1bede (このIDを非表示/違反報告)
オレオレオ - すみません、21話が更新されないまま22話が更新されてるんですけど、これはこっちの問題なんでしょうか？ (2020年12月15日 18時) (レス) id: ba06124240 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうな(プロフ) - え、めっちゃ続き気になります！カリム達と出会ってるからルーナも行くのかな？NRC、 (2020年12月11日 16時) (レス) id: 1fc8fa02db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Estel | 作成日時：2020年12月5日 23時
