31 で ページ32
声の主が誰か察しが付いたとき、まだ会う準備ができていなかった私は、自分の顔を手で覆い隠すしかなかった。
そんな私を見たその人は、すごく優しい吐息をついて、私を再度抱きしめる。
「俺のことをみろ」
雪どけのように柔らく低い声が聞こえる。
他の音は何も聞こえず、その声しか聞こえない
もうすべてが、彼を思う気持ちであふれかえりそうだった。どうして、【恋する気持ち】はこんなに苦しくて、美しいんだろう。
『………っ、レオナ………さま………』
「ああ、レオナだ」
手のひらの隙間から、いくつも、いくつも涙のしずくがこぼれていく。
「お前を探そうとして出てったらどこにもいねェから、公務に行って今、帰ってきた」
私の涙をぬぐって、彼は続ける。
「金色の光が見えてそれを追いかけたら俺の部屋についた。で、そこにお前がいたんだよ」
『…………わたし、が？』
そうか、ルークさんの光る魔法は
私を森の外じゃなくて、本当に行きたい場所に連れて行ってくれたんだ。
顔を隠していた手を外して、彼のことを見た。
『「好き(だ)(です)」』
同時に二人の声がかさなる。
そうして、彼の手と私の手はかさなった
レオナ様は私の手の甲にキスをして、頬を赤く染めながら言った。
「……俺から離れるな。お前がどっか行っちまったら、また俺は一人になっちまうから」
ルーナ、ごめんな。
もうお前に辛い思いはさせないから、いつまでもそばにいて欲しいんだ。
許してくれるなら、Yesと返事を…………
『………私も貴方のそばにいたいです』
じんわり
熱いものが目のほうにこみ上げてきて、子供のときに流したきり、ずっと流していなかった涙が頬をつたっていく。
ポタ………ポタと、
その涙がルーナの頬にもポタリと落ちる。
『……………レオナ様泣いてます？』
「…………お互い様だろ………」
俺が涙を見せないように向こうを見ようとすると、ルーナが俺の顔に触れてその涙を白い指先でぬぐった。
『ナイトレイブンカレッジに行っても、ここであなたを待っていますね』
ルーナは微笑む。そして、俺達はキスをした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 184人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
華麟(プロフ) - オレオレオさん» ご指摘ありがとうございます。訂正しました。 (2020年12月15日 22時) (
レス) id: 75feb1bede (このIDを非表示/違反報告)
オレオレオ - すみません、21話が更新されないまま22話が更新されてるんですけど、これはこっちの問題なんでしょうか？ (2020年12月15日 18時) (レス) id: ba06124240 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうな(プロフ) - え、めっちゃ続き気になります！カリム達と出会ってるからルーナも行くのかな？NRC、 (2020年12月11日 16時) (レス) id: 1fc8fa02db (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Estel | 作成日時：2020年12月5日 23時
