15 た ページ16
兄貴の部屋を出て、パタリと扉を占める。兄貴の家臣が頭を下げた。
1歩歩いて、重い足を引きずるようにまた1歩歩いて、自分の口にした言葉を思い返していた。ルーナがいるから公務に出てもいいと思った。
それでも、国民にどんなことを言われるか
何を思われるか。何を期待されるか
考えることが苦痛でしかなくて、今からここを逃げ出して、全てを投げ出したい。
兄貴がいなければ、俺が第一王子だったら、チェカが生まれなかったら。
俺の人生は変わったのかと考える
いや、"変わったはずだ"
二人さえいなければ、俺は苦しくない
呼吸が上手くできる。生きてられる。
「………チッ………」
舌打ちをして、自分の部屋に戻ろうとした。自分の殻に閉じこもれる場所へ行こうとした。
お願いだから、誰も俺に構うな………
一人でいるほうが気楽だ
『………様、レ………さま！』
耳に聞こえる全ての声を遮断したい。この声も、ルーナの声すら無視したい。
黙れ、黙ってくれ！
「うるせェ！！俺に構うな！」
振り返って、声を出す。
自分でも信じられないほどの大声だ。ライオンが本気で威嚇した時の咆哮。
しまった、と思った。
苛立って当たり散らした。ルーナは、感情をぶつけるための道具じゃない。
感情が抑えられない。
心の中は、辛くて苦しいだけだ。
ルーナを見た。美しい召使いを。
彼女はいつものように綺麗で、純白の髪が太陽できらめいた。エメラルドが光る。
俺がある国の国王になって、もし月の色を自由に決めていいと言われたら、俺は真っ先にエメラルド色と答えるだろう。
そのくらい穢れを知らない瞳は美しい
『私がお嫌であれば、おいとまします。着替えも、髪を乾かすのも、部屋を整理するのも、ご自分でやってください』
ルーナは俺が突然理由もなく怒ったことに、腹を立てたようだった。
…………その時どうしてか
謝る気になれなくてたった一言こう言った。
「……………行けよ、どこにでも行け」
ルーナは無表情だ。何も言わない。
二人の間に��無��の空間が広がっていく
そして俺は最後、追い打ちの言葉をかけた。
「行け、自由だ。ここから去れよ。それから二度と……俺の前に姿を見せるな」
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華麟(プロフ) - オレオレオさん» ご指摘ありがとうございます。訂正しました。 (2020年12月15日 22時) (
レス) id: 75feb1bede (このIDを非表示/違反報告)
オレオレオ - すみません、21話が更新されないまま22話が更新されてるんですけど、これはこっちの問題なんでしょうか？ (2020年12月15日 18時) (レス) id: ba06124240 (このIDを非表示/違反報告)
ゆうな(プロフ) - え、めっちゃ続き気になります！カリム達と出会ってるからルーナも行くのかな？NRC、 (2020年12月11日 16時) (レス) id: 1fc8fa02db (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Estel | 作成日時：2020年12月5日 23時
