47.5話⚡️side ページ9
気づいてない。
…わけじゃない。
Aちゃんが爆豪のことを好きだってこと知ってたし、タイミングが良かっただけ。
付き合ってるのにどこか距離を感じて、胸が苦しくなる。
Aちゃんは気づいてないだろうけど、俺ね、Aちゃんから好きって言われてないんだよね。
可哀想なんて思うなよ？
1番近くにいれるならそれすらも許せると思えるくらいには、好きなんだから。
「上鳴ちゃん」
「あ、梅雨ちゃん」
「なんだかとても暗い顔してるわね」
「そー見えるー？」
「Aちゃんのことかしら？ケロケロ」
「はは…まあね…」
ホント、瀬呂といい切島といい、よく見てるわ。
俺ってそんなに分かりやすい？
「Aちゃん俺と付き合ってくれたけど、俺の事が好きで付き合ってくれたわけじゃないんだよね」
分かっていたけど、声に出すとなんか余計に心臓に来るわ。
「…実はAちゃんからも話を聞いていたの」
「まじ？」
「Aちゃんも悩んでいるようだったわ。さすがに話の内容までは言えないけれど、上鳴ちゃんのこと大切に思うが故にって感じかしら」
梅雨ちゃんってたまに母親みたいになるよな。
たぶん、誰よりも周りを見てる。
「私は部外者だから、別れた方がいいとかそんなこと言えないけれど、2人には笑っていて欲しいわ」
「どんな形であれ隣にいたいなんてわがままだよな…付き合えたのも瀬呂達のおかげでさ、出会えたのも爆豪のおかげ。それ踏み台にしてでも1番近くにいたくて、誰にもあげたくない」
「人ってわがままになるものだから、そうなってしまうのも仕方ないことよケロ」
「梅雨ちゃん…元彼から友達に戻れんのかな」
「どうかしら…私恋愛経験ないから参考にはならないけど、上鳴ちゃんなら大丈夫だと思うわ」
「ありがとう梅雨ちゃん。なんかスッキリしたわ」
人はわがままになるもの。
俺が好きなのは笑っているAちゃん。
いろんな初めて貰ったしもういいだろ俺。
自分に言い聞かせるように俺は首を振った。
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作者名：すもももも | 作成日時：2022年9月5日 15時
