45話 ページ5
『私の両親もヒーローなんだ。私もヒーローになれってずっと言われてきた』
それは4歳の頃。
周りの子供たちも個性が出始めた頃。
私にも個性が出た。
でも、母親と父親のどちらの個性にも似てなかった。
父は母が不倫をしていると思い込んだ。
私は不倫相手との子供だって言い張った。
父は私を拒絶した。
母は父のことを愛していたから、そんな私にヒーローになれば許してくれる。だからヒーローになりなさい。そう言い続けた。
『初めは私も頑張ってたの。お父さんのこともお母さんのことも、大好きだったから』
私もヒーローになるから。
そう父に言った時、父は少し嬉しそうな顔をした。
それからすぐの事だった。
母が出掛け先で敵襲撃に合って殺された。
それがきっかけになり、父は沢山の女の人を家に呼ぶようになった。
私が中学にあがった頃、父は再婚した。
再婚相手もヒーローだった。
その人は私が学校へ行くこと以外の外出を嫌がった。
反発すると、頬を打たれた。
そして必ず、そんなに解放してほしいなら雄英に入れ。そう言った。
『だから私は、雄英に入ったの。ヒーローになりたいなんて思ってないんだ』
洸汰くんは、なんとも言えない顔をした。
『ご、ごめん！洸汰くんには重たかったよね…』
洸汰くんは首を振り、両親がヒーローで、殉職してしまったことを教えてくれた。
まだ幼い洸汰くんにとって、両親が全て。
そりゃヒーロー嫌いにもなる。
『教えてくれてありがとう。これは2人の内緒だよ』
私と洸汰くんは指切りをして、楽しい話に切りかえた。
「毎日オムライス食べてんの？」
『学校の時だけね？すごい美味しいんだよ』
「ふーん」
『洸汰くんは何が好き？』
「…ハンバーグ」
『私もハンバーグ好き！今度一緒に美味しいハンバーグのお店に行こうよ』
洸汰くんは、目をキラキラさせて私を見た。
「いいの？」
『もちろん！マンダレイがいいよって言ったらだけどね』
「いいよって言わせる」
『ふふ、頑張って！』
洸汰くんは、約束だからとまだ幼い小指を立てて私の前に出した。
『約束ね。ゆーびきーりげんまん』
「嘘ついたら針千本」
『のーます！』
「ゆびきった！」
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作者名：すもももも | 作成日時：2022年9月5日 15時
