私がサッカーを嫌いな理由

35話 ページ37

玲王くんから、御影コンポレーションと言うお金持ちの会社の息子だと初めて聞いた…


知らない様子の私に、彼も呆れた様子。




玲「…逆にうちの名前知らない奴、お前くらいだわ…」



「仕方ないじゃん…日本の企業なんて分かんないんだもん…

だから、苗字じゃなくて下の名前で呼ばせたの?」



玲「え…いや…まぁ


それより、お前の親御さんは?」



「……」



玲「…なんだよ…」


中々答えようとしない私に、玲王くんは首を傾げた…

変に隠すの必要も無いし…ここで、答えないのも可笑しい。



「………両親は亡くなってる…」


玲「…え!?」



私が中々言いずらそうにしていた答えを知って、玲王くんは驚いた表情を浮かべたと思ったら…

直ぐに俯いた…



「そんな顔しないでよ…こっちが気まずくなるじゃん…」



玲「悪ぃ……日本に来て、どのくらい?」



「…1年経つかな?


ドイツにいた時間が長かったからねぇ」



玲「…何で日本に?」



「……一緒に暮らしてた祖母が病気で入院してね…



働こうってしてたんだけど…祖母がどうしても、学校に行けって…

治療費全部、学費に注ぎ込もうとしててさ…


そんな時に、アンリお姉ちゃんから養子縁組を組んでこっちで暮らさないかって誘われて…



それで、日本に来た……」



玲「……そっか…」



玲王くんは、私の話に耳を傾けてくれた…私もここまで話すつもりはなかった…



玲「…はァ……俺、マジ最低だな」


「…え?」


玲王くんは頭を抱えて、何か呟いていたが聞き取れなかった…

そして、何か決意したようにまたこっちを向いた。



玲「……あのさ、その…治療費さ」


「あっ待って!!」



お金持ちの言う事だ……勘違いであって欲しいが、一応釘をさしておこう。



「一応言っとくけど…治療費全部肩代わりするとかいうのなしよ…



別に私は、玲王くんがお金持ちの息子だからこの話をした訳じゃないから…


って、そんな訳ないか…」



と、玲王くんに目をやると…「えっ」と固まってしまった…

その反応は…



「…まさか…ほんとに払うつもりだったの?」



そう尋ねると、静かにコクリと頷いき……それには私もドン引きした。




「…はぁ……マジで…?」





玲「…まぁ、それはいいとして……


……話してくれて、ありがとな…」




「……こっちも、聞いてくれてありがとう」

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