私がサッカーを嫌いな理由

19話 ページ21

蜂楽くんが練習場を出てった後…
私は足元のサッカーボールを見つめていた…




「サッカーを好きに…ねぇ」



片付けよう…そう思っていたのに…
身体は勝手に…もう一個のボールへと手を伸ばした。



自分でも分からなかった、何故こんなことを思い付いたのか…




2つのボールを並べ、頭に思い浮かべた…

糸師 凛がやっていたあの荒技を…




確か、一発目は柔らかい、高軌道の放物線…


そして、二発目は… 低空飛行のスピンカーブ!!




「…よし」




一回で当ててしまった…久しぶりの感覚…


そこで私はハッとした。



「って何してんだ私……早く片付けよう」



そう思い、今度こそ片付けようとした時…



？「おい、お前…」



「…!?」



フィールド場に入ってくる人物に、驚きを隠せなかった……


なぜよりにもよって、このタイミングで出てきた…


......糸師 凛!




凛「…もっかいやれ…」




「……は?」



なんて?…もっかいやれ?


…まさかの糸師 凛の登場と予想外の言葉に思考回路が追い付かない…


そんな私を嘲笑うかのように、糸師 凛は私を見下ろしてる…



凛「…聞こえなかったのか……

さっきのをもっかいやれ…」


「…なんで?」


凛「…いいからやれ…」



動こうとしない私に痺れを切らして、わざわざボールを2つ取り出し…足元に置いた…


あぁそうか……2度も出来ないだろって言いたいのか…

と自分で納得する事にした。



当てたら面倒くさそうだから、わざと外してさっさと終わらそう…そう思って、もう1度…


勿論、狙ってもないから当たるはずもない…



凛「…やっぱりな」


その言葉に胸を撫で下ろす…バカにされてもいいから早く解放して欲しい…



凛「なんでわざと外した…?」



思わず、ギクリとなった…ていうか、バレてる!?

一気に冷汗が出て…糸師 凛から目を逸らす。



「…別に外してないよ…さっきのがまぐれだっただけで…」


凛「俺の技術は素人がまぐれで当たる程、簡単じゃねぇよ」


あぁ面倒くさっ!

そうやけくそになり、とうとう糸師 凛の問いかけを無視してボールを片付けた…


凛「おい!…質問に答えろ」


そう言って、腕を掴んできた…



「あぁもぉ!!…しつこいな!

いいでしょ別に…!!私はただのマネージャーだし!!

まぐれに決まってんでしょ!!」


凛「…マネージャー?…フーン


お前、名前教えろ」



「…帝襟夢主…」



凛「…夢主ね……

俺は糸師 凛…覚えとけ」

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