色んな恋を【短編集】

捨てられたラブレター【跡部景吾】 ページ29

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ずっと好きな人が居る。
いや、もう好きな人が居た。になるのかな。
この学園で知らない人は居ないだろう。
跡部景吾＿。
それが私の好きな人だった。

好きになったきっかけなんて些細な事だった。
担任に頼まれていたノートを私が落として、それをたまたま近くを通った跡部君が拾ってくれた。
それだけだ。
そこからたまに話すようになり、恋に落ちた。


跡「Aは、無理をする所があるからな。たまには俺様を頼れ。」



なーんて、言っておいてさ。
勘違いさせるだけさせて。




跡「俺がここまでするのはAだけだ。」




こんな事言われたら、少しは私に気があるのかって思うじゃん。
だから、勇気を出して手紙を書いて渡したのに。
それは無慈悲に、ゴミ箱に捨てられていた。
たまたま、学校の裏に用事がありそこにあるゴミ箱に目が行ったのだ。
そこに、私が渡した手紙が入っていた。
一応読んでくれたのだろう。
止めていたシールが剥がれていたから。

そこから私は1人で泣いた。
余りにも残酷だと。
せめて、本人に振られる方がマシだった。
こんな、こんな事…っ。



「…っ。」




涙が溢れて止まらない。
こんな事されるなら、もう彼と話すのはやめよう。
彼と関わるのもやめよう。
もう、私は振られたのだから。
彼に近寄る意味も無い。

けど、今は。
今だけは、泣かせて欲しい。
この現実を受け止めれる程、私の心は強くないから…っ。

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