色んな恋を【短編集】

たった一年早いだけ《財前光》 ページ27

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俺は、1つ上の先輩のAさんが好きや。





四天宝寺のテニス部マネージャーであるAさんは今、走り回っている。





他の部員にタオルを渡したり、スポドリ渡したり。






白「A〜、ちょっとえぇかぁ？」

「ちょい待って〜！はい、金ちゃん！」

遠「姉ちゃんおおきに〜！」

「蔵〜っ、今行くね〜！」





あーあ、俺もAさんと話したい。





俺だけ、見て欲しい。





部長等はえぇな。





Aさんとタメやし、謙也さんなんか同じクラスやし。





羨ましい限りや。





先輩達がたった1年早く産まれたからって、何でこんなに差があるやろ。





たった1年の差やのに…。





「ざーいぜん！何暗い顔してんの？」

財「うわ…っ！って、Aさんやないっスか。」

「何か今日の財前はテンション低いで？」

財「気の所為っスわ。」

「…嘘やな。」

財「…っ！何で、そう思うんスか。」

「何でって、泣きそうな顔してるからやん。」

財「な…っ！！」






俺が、何そうになってるやなんて…っ。






「何を思い悩んでるか分からへんけど、いつでも言うてや？」

財「Aさん…。」






言えるわけ、無いやろ…っ。





アンタの事が好きやなんて…っ！





財「言えるわけ、無い…っ！」

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