エゴトレ！！５【ブルーロック】

179 : 最高のラストパス ページ24

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(……なるほど、冴くんか)



ドイツチームが勝利へ王手をかけた、2−1 からのリスタート。潔くんの動きはやはり、目に見えて変わっていた。


これまでは、" カイザー選手だけが視えていた " のであろう場所。

そこに必ず、潔くんも顔を出している。



アギ選手からボールを奪おうとしたその二人の足がぶつかり、大きく浮いたセカンドボールを拾ったのは＿＿＿＿＿＿＿玲王くん。



試合が始まった時からずっと、その動きに引っ掛かるものはあったのだが。



(玲王くんは、冴くんのプレーをコピーしてるんだ)



確かにイングランドチームでの玲王くんのポジションは、いわゆるトップ下。攻撃的MFのそこは、糸師冴の定位置でもある。



玲王くんは自分一人で抜ける相手は抜き、ここぞというタイミングで、凪くんへワンツーのパスを出す。

そうして二人はみるみる内、互いのポジションを前線へ押し上げていった。



【凪くん玲王くんの、全く無駄のないワンツー。ドイツチームの守備陣は苦戦しております】



カイザー選手・潔くんを含むドイツチームのメンバーの顔には、焦りの色が浮かぶ。


それほどに。
今の " 二人 " は止められない。


あっと言う間にゴール前、DFは残り一枚＿＿＿＿＿＿



(……いや何、その曲芸的な)



玲王くんからの強いパスはひとつバウンドをして、凪くんの顔付近に向かう。そのままヘッドで足元に落とすと思われた、次の瞬間。


凪くんは背中でボールをトラップ。一度ヒールで浮かせたら、足裏で叩くようにして自身の頭上を越えさせる。当然、DFは置いてきぼりだ。


＿＿＿＿＿＿しかし先には。



「チッ……どけ世一、俺の球だ」


「っせぇ！ここは俺の超越地点(メタ・ポイント)だ！！」



ほぼ同時に現れた、二つの影。

予測など出来ない発想による、凪くんの曲芸じみたプレー。抜いたと思われたそこへ。



「？！ へ、」



凪くんは珍しく、その驚きを表情に出した。しかしすぐさま、ボールを足元でピタリと止め。



【おっとここで凪くん一旦、玲王くんへヒールで戻します】



凪くんはそのまま、ただ前を向いて走り出す。待ち構えるカイザー選手と潔くんに、突っ込んでいくかのように。


相棒からの＿＿＿＿＿＿＿＿最高のラストパスを、信じるように。



その相棒が選んだ、ボールの出し先は。



「YES, BOSS」



凪くんがこれまで恐らくずっと、「勝ちたかった」相手。



潔くんが居る方、だった。


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