エゴトレ！！５【ブルーロック】

177 : オーバーヒート。 ページ20

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ピッチに倒れ込むと思われた潔くんは、その場に踏み留まった。


しかし今思い出したかの如く、その呼吸は一段荒くなる。潔くんはひどく苦しそうな顔で膝に手を置き、前傾(ぜんけい)姿勢をとった。


瞬間、目が合う。



【オーバーヒート。水入れて、呼吸意識して】



急ぎスケブに書き入れ、潔くんへと掲(かか)げる。恐らくは今の一連のプレーにまだ、潔くんの脳と身体が追いついていないのだろう。



「……？」



え。何そのキョトン顔。
私そんな、おかしいことは書いてな＿＿＿＿＿＿＿



「Aさんソレ、潔くん読めとらんかも」


『ご指摘ありがとう、ひおりん。油断するとすぐ、解読不可能な字に』


《シャラップAちゃん。……っていうかイマイチ確立しないな、そのスケブ芸》


【無念】



スケブでボヤきながら新しいページを繰(く)り、もう一度 ( ジェスチャー付きで ) 潔くんへと見せた。


お、今度は頷いたぞ。
良かった通じて。←



選考中のトレーニングで相当鍛えてきたつもりの体力でも、足りない程に。



(消耗が激しい…………当然か。あんな神様みたいな視野で、ずっとプレーしてれば)



だが今後のトレーニングにおける潔くんの次の課題は、これで見えた。


試合中、今のプレーを持続させられるだけのスタミナをつけること。それから本人がイメージした通りに動ける、肉体を作ること。



(ノアとまた、メニューは相談だな)



ウム、とトレーナーとしてのやる気を密かに漲(みなぎ)らせる内、潔くんの様子は少し落ち着いたようだ。


自身のポジションへ戻っていくのを、安堵と共に見送れば。



「今俺、全然サッカー面白くない」


(………え、)



ピッチから発せられたそれは、" 青い監獄 "(この場所)に、ひどく似つかわしくないセリフだった。

全てをサッカーに捧げるのが当然の、この場所には。



声の主を反射的に見やれば彼＿＿＿＿凪くんが、セリフ通り「つまらなさそうな」顔をして、玲王くんと向き合っている。


何だ凪くん。
どうした。



「……潔に勝つために、お前が選んだ道だろ。今の俺には関係ねぇよ」



眉をキツく寄せた玲王くんが、凪くんを突き放すようにそう返す。ドの付く正論だ。



何故なら二次選考で、玲王くんとは組まない選択をしたのは紛れもなく＿＿＿＿＿＿＿＿



「……玲王とやってる時の方が俺、サッカーが面白かった」



そう呟いた凪くん本人、だったのだから。


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