志望理由 ＝ 潔世一と結婚したい【ブルーロック】

34 : まだ、好き？ ページ38

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「Aー、もう部屋戻っていい？ めんどくさい」


『凪さん、せめて後20分。まだ始まって3分ですよ、登場がウルトラ○ン並です』


「えー無理」


『何かすっっごいデジャヴなんですけど、いつでしたっけ』



あ、アジア最終予選の祝賀パーティーの時だっけ？
あれもう半年以上前じゃん、ブレないな凪さん。



………大熱狂の決勝戦を終え、そこから表彰式だのインタビューだのコメントリリースだの、怒涛のスケジュールをこなした選手の皆さん。

確かにお疲れはお疲れだろうが。



「っしゃ、今夜は飲むで！」


「ウェーイ！」



とりあえず、の内輪での祝勝会中。
冷静沈着がウリの烏さんですら、今日はテンションが高い。

ちな乙夜さんは、普段はともかく試合に勝った時はわりといつも高めである。←



でも当然だ。

サッカーに携わる全ての日本人が、「果てない夢」と考えていたそれを、ついに叶えてみせたのだから。



「すんごい目、腫れてるけど」


『すんごい泣きましたもん』


「ふーん。カッコ良かった？ 俺ら」


『皆さん元々顔面良いですけどね。今日は更に5割増しいきました』


「そういう素直な所が良いよね、Aって。変態だけど」



『お誉めに預かり光栄です』とレモンティーを差し出せば、凪さんはそれを一口飲んで。



「好きなのやめたの？ 潔のこと」


『急に話題変わりますね。いえ、やめてません』



もう少し楽に、やめられるものなら。
諦められるものならもう、きっと。とっくに。



「ふーん。だいぶ大人しくなったから、やめたのかと思った」


『W杯本戦の邪魔になるのは、JFU職員としてはさすがにと思いまして』



なるほど、とさして興味も無さそうに、再び相槌を打った凪さんは。



「俺がもらってあげてもいーよ」


『……？ 何をですか？』


「A」


『え？』


「Aの運転好きなんだよね、俺」


『あ、運転手として』


「兼、奥さん」


『え？？……………わっ、』



凪さんの話への理解が追いつかず、脳内が疑問符だらけになった所で。


反対側から急に、強く引かれた腕。



「………邪魔して悪ぃな、凪」



その声は、私にとって。
誰とも間違いようのない___________



「本気でそう思ってんならしないでしょ、普通。やっぱ一番のエゴイストだよ、潔(お前)」



呆れたように肩を竦めた凪さんへ、潔さんは何故かもう一度、小さく謝って。



私を引きずるように、その場から駆け出した。


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