志望理由 ＝ 潔世一と結婚したい【ブルーロック】

29 : 本心だけど。 ページ33

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凪さんを宥めすかしている内に、専属執事 (注・御影さん) が戻って下さったので、とりあえず凪さんはそちらへと丸投げし。( 職務放棄とも言う )



猛ダッシュで凛さんにお代わりを献上すれば、近くに居た冴さんから「塩昆布と炊きたての白米持ってこい」と無茶振りをされ。



駆けずり回ること数十分、ようやくひと息つけたところで会場を見渡して、我が最推し・潔さんのお姿を探す。


今日は全く話せていない。圧倒的推し不足だ。



(………あ、)



私の目はどこでもすぐ、潔さんを見つけられるから。

会場の前方付近、多くの人々の輪に囲まれる姿をやはり捕らえた。


スポンサー企業の社員らしき男性陣に混じり、ちらほらと見える女性の存在も。



(あの人見たことある………モデルさんかタレントさんか……)



スポンサードの関係で、選手らと共にCMに起用される芸能人は少なくない。

記憶にある綺麗なその顔も、恐らくは。


そんな人達を相手に臆する様子もなく、談笑する潔さんがどうにも___________



(遠く見えるなあ、こうしてると)



当たり前のことが、今更ながら頭をよぎったことに気づき、思わず苦笑した。


きっと私は、欲張りになった。

今まではずっと、遠い遠いところから見つめていただけの人を。こんなにも。



「………い、おいA」



すぐ隣から呼ばれた名に、意識が戻される。

少し不思議そうな顔をした御影さんが、凪さんをおぶって傍まで来ていた。



『……あ、すみません御影さん。どうされました？』


「ん。凪が限界だっつうから、部屋連れてくわ」



『承知です』と告げると、今の今まで私が視線を向けていた先を、御影さんも一瞥(いちべつ)する。



「あー………あれ、モデルのコだよな。何かの撮影で一緒んなった記憶ある」



釣られてもう一度そちらを向けば、ちょうどその人の手が、潔さんの腕へと添えられた。



「気にすんなよ、ああいうコは誰にでもするし」



慰めるように言ってくれる御影さんにこれ以上、気遣いをさせる訳にはいかない。

何事もないように笑ってみせた、その時。



「……ふーん。俺ならあんなモデルより、Aのが全然いい」


『えっ………な、凪さんまで慰めて下さるんですか……！？ え？ あの凪さんが？？』



「どーいう意味」と、凪さんはお口を某ウサギさんのようにしてから。



「別に。本心」


『あ、りがとうございます？』


「………頼むからややこしい話にすんな、凪」


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