志望理由 ＝ 潔世一と結婚したい【ブルーロック】

25 : 「好き」はエゴ ページ29

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「ま、考えとけ」と、謎の提案をした挙げ句に、冴さんはあっさり立ち去った。



『冴さんて、冗談言う時も真顔なんですね』



確かにプレー中も、ほぼ真顔だしな。
表情筋が仕事してないイメージだ、凛さんもだけど。

ニコリともしないのに女性人気が高いのは、やっぱり顔面もお強いからなんだろうな。



そんな感想を口にした私に、潔さんは「あー……」と珍しく、口ごもるような素振りで。



「冴は………まあ凛もだけど、冗談てほとんど言わねぇからさ」


『ああ、確かにそういうイメージでした』



「だから」と。
潔さんはそこで一度、話を区切り。



「何だかんだ、気に入ってんだと思う。Aさんのこと」


『エッ？？』


「ハハ、わかりづれぇかもだけど」



苦笑する潔さんを、思わずぽかんとアホ面で見つめてしまう。予想外過ぎた指摘に。



『冴さん達には、むしろ嫌われてるくらいに思ってました。私、うるさいのは事実ですし』


「あー……」


『………そこは否定して頂きたかった……潔さんだけには……』



自覚あるとはいえ、ね？ (涙目)


遠い目になった私を見てなのか、潔さんは隣で思いきり吹き出す。



「ははは………わり、ほんとさ………Aさんて何つうか、素直だよな」


『素直？ アホじゃなくて、ですか？』


「……」


『……潔さんこそ、大変素直でいらっしゃると思います………いえ、そういう所も大好きですけども！！』


「ふはっ、さすがに怒った？」



クツクツと笑う潔さんに、私が怒っているはずなどない。


舐めてもらっては困るのだ。
10年分もの、私の片想い。



『怒るというより、困ってるんです』


「ん？ 困るって？」



疑問符を表すように、ほんの少しだけ傾けられた顔も。
優しく掛けてくれる声も。
未だゆっくりと進めてくれる、その歩みも。


これまで一方的に知るだけだった潔さんと実際に会えて、話せて。その人柄を知れて。



私は___________



『本当に………今までより、もっともっと潔さんを好きになってしまって………困ってます』



自分でも手に負えない、この気持ちを。
あなたにぶつけてしまうのは、私のエゴだけど。



「……」


『……あれ？ え？ もしかして潔さん、照れてます！？』



片手で顔を隠したのは。
そういうことなんじゃないかって。



『え！ 嘘、……エッ！？』


「………るせぇ、見んな……」


『っ、調子こいて申し訳ございませんでしたァ！』


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