☆ 5/21 赤星4周目 御礼 ☆ ページ49
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現世・番外編 「お手柔らかに」
にゃあ、とか細い声がどこかで上がった。
季節は梅雨で、今日も雨で。
傘を滑っていく雨音の中でも、拾えたその声。
『……居るよね、近くに』
「どこかな」
高校生になった無一郎くんはもう、私より頭半分以上、背が高くなっている。
ようやく会えた時は___________彼が中等部に入学してきた時はまだ、私の方が高かったのに。
学校帰りの住宅街は、降りしきる雨のせいかシンとしていて。
耳をよく澄ませば何となく、わかる方向。
その公園へと揃って足を踏み入れれば、状況は瞬時に把握できた。
屋根もないベンチの上、ずぶ濡れで鳴き続ける小さな命。
『飼い猫じゃ無さそうだなあ……』
「うーん、まだちっちゃいしね。迷子か、捨てられちゃったか」
近寄ってそう囁き合う私達に、綺麗な漆黒の毛をしたそのコは、何かを訴えるかのように鳴いている。
そういえば、と思い出し、鞄からタオルを取り出した。
『そんなに濡れたら寒いよね。おいで、かわいそうに』
タオルを広げ、その身体を抱き上げようとした瞬間。
「……シャーッ」
『あれ？』
「どうしてA、早速そんなに嫌われてるの？」
『私が聞きたい』
おかしいな。
動物には嫌われるタイプじゃないんだけどな、昔から。
解せぬ、と眉を寄せた私から、タオルを受け取った無一郎くんが「おいで」と一言発した瞬間___________
「わ、びっくりした」
『いや意味わかんない、無一郎くんには秒で懐いてるし』
綺麗な翡翠の瞳を輝かせたようにも見えたその子猫は、軽やかに無一郎くんの持つタオルへ、飛び込んだかと思えば。
「すっごい喉ゴロゴロしてるよ、ほら」
『ほんとだ。良かったね、ネコちゃん』
「……シャーッ」
『だから何で？？』
「Aのこと嫌いなの？」
「ミャアアア」
『やだ、めっちゃはっきりお返事してる』
『解せぬ』と今度は口に出せば、無一郎くんは小さく吹き出した。
わかるよ。
無一郎くんが今、何を考えてるのか。
『連れて帰る？』
「何かね。放っておけない感じがする」
『名前も決めてるんでしょ、もう』
「うん。Aも覚えてると思うけど」
『じゃあ、いっせーので言ってみる？』
頷いた無一郎くんと、密やかに視線を交わらせて。
私達が揃えて、呼んだその名に。
銀子はひどく嬉しそうに、にゃあ、と鳴いた。
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ひよ(プロフ) - メメさん» メメ様、はじめまして！完結からだいぶ経っている作品にコメント頂き、本当にありがとうございます😭 嬉しかったです！現世編の方ではもっと青春してますので、宜しければそちらも是非♥ (4月27日 13時) (
レス) id: 03402cf4a3 (このIDを非表示/違反報告)
メメ - 良すぎます！なんかもう、わー青春だねーって感じします。最後の方。 (4月26日 13時) (レス) @page48 id: 7b4a5b0ad7 (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - 優衣さん» 優衣さま、はじめまして！コメントありがとうございます、すっごく嬉しかったです♥️ 原作軸は原作の結末通りに書きたい派なので、、現代転生後のハピエンとしました…！ (7月30日 21時) (レス) id: 03402cf4a3 (このIDを非表示/違反報告)
優衣 - 無一郎が夢主ちゃんのお面を「オカメ｣と言っていたのが面白かったです❗夢主ちゃんと無一郎が現代で幸せになれる事を願います❗ (7月30日 16時) (レス) @page50 id: fa32b0552b (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - さざんかさん» さざんか様、はじめまして！コメありがとうございました！ 読んで頂いた上、、嬉し過ぎるお言葉を頂き、こちらこそ感謝感激です(泣) 鬼殺隊の面々には、現世では何でもない幸せを堪能して欲しい…！という願望のラストでした。気に入って頂けて良かったです(泣) (6月6日 12時) (レス) id: 03402cf4a3 (このIDを非表示/違反報告)
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