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38 : 春と訪問者 2 ページ39







不死川さんが黙っているのを良いことに、私の口はそんな風に動き続けた。



母にさえ___________誰にも言う気にならなかったこの事実を何故今、私は不死川さんに話しているのだろう。


さしてこれまで、関わったことも無いというのに。



(………ああ、そうか)



無一郎くんと同じ立場、柱であった人。
だからこそ。



(無一郎くんのことを)



理解した上で、その代わりに何か。
私に言ってくれるのではないかと。


甘えて。



『………自分のためだけじゃない。人々のためにも最期まで戦った無一郎くんの死に、私が個人的な想いで泣くのは…………どうなのか、って』



『わからないんです』と終えた私を、不死川さんは微動だにせず見つめていた。


怒っているようには見えなかった。

だがさすがに不遜(ふそん)だったかと、悔やみかけた時。



「………いいんじゃねェか、別に」


『え……?』



肩に留まった銀子の背を撫でながら、不死川さんは少しだけ、微笑んでいるようにも見えて。



「俺は………俺らは、時透と同じ柱だったかンなァ。歳のことでアイツを心配する方が、アイツに失礼だと思ってた」


『………はい』


「実際アイツは強ェ仲間だった。アイツが居なきゃ、上弦の壱は倒せなかった」



何かを思い出すように、不死川さんは目を細め、遠くを眺める。



「だからこそ逆に俺らは、時透の_________先に逝った仲間達の死を、" 普通に " は(いた)めねェ節がある。………残念ながらな」



でもアンタは違ぇだろ、と。
今度は私の目を真っ直ぐに射ぬく藤色。



「アンタはアンタの立場で、時透の死を残念がりゃいい。悔しがりゃいい。だから、」




___________泣いたって、いんだよ。




そして不死川さんは、すぐ目の前まで来て。
小さい子にするように、私の頭を優しく撫でた。


それは父親のような、兄のような。
し慣れたもので。



『………玄弥さんも前の里で、私達を助けてくれて』


「おォ…………らしいなァ」


『その後………無一郎くん達と一緒に、新里に遊びに来たことがあったんです』


「………へェ」



不死川さんは、風柱だ。
でも、玄弥さんのお兄さんでもある。



『………不死川さんのこと優しい人だって、私が言ったら…………泣きそうな顔で、頷いてましたよ』



きっと私と似た想いも持つであろう、不死川さんは。



「そうかィ」とただ小さく呟き、その藤色を細めたのだった。


39 : 時透無一郎、拝。→←37 : 春と訪問者



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設定タグ:鬼滅の刃 , 時透無一郎 , 霞柱   
作品ジャンル:恋愛
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ひよ(プロフ) - メメさん» メメ様、はじめまして!完結からだいぶ経っている作品にコメント頂き、本当にありがとうございます😭 嬉しかったです!現世編の方ではもっと青春してますので、宜しければそちらも是非♥ (4月27日 13時) (レス) id: 03402cf4a3 (このIDを非表示/違反報告)
メメ - 良すぎます!なんかもう、わー青春だねーって感じします。最後の方。 (4月26日 13時) (レス) @page48 id: 7b4a5b0ad7 (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - 優衣さん» 優衣さま、はじめまして!コメントありがとうございます、すっごく嬉しかったです♥️ 原作軸は原作の結末通りに書きたい派なので、、現代転生後のハピエンとしました…! (7月30日 21時) (レス) id: 03402cf4a3 (このIDを非表示/違反報告)
優衣 - 無一郎が夢主ちゃんのお面を「オカメ」と言っていたのが面白かったです❗夢主ちゃんと無一郎が現代で幸せになれる事を願います❗ (7月30日 16時) (レス) @page50 id: fa32b0552b (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - さざんかさん» さざんか様、はじめまして!コメありがとうございました! 読んで頂いた上、、嬉し過ぎるお言葉を頂き、こちらこそ感謝感激です(泣) 鬼殺隊の面々には、現世では何でもない幸せを堪能して欲しい…!という願望のラストでした。気に入って頂けて良かったです(泣) (6月6日 12時) (レス) id: 03402cf4a3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ひよ | 作者ホームページ:ありません  
作成日時:2023年4月13日 9時

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