19 : 上弦、襲来。9 ページ20
side 時透無一郎
鮮明に
身体は燃えるように熱く。
何故だかとても気分は良かった。
身体はひどく軽く、良く動き。
一方で、頭の芯はすっと冷えていく。
その小屋へと飛び込み、すぐさま化け物へと刀を振るった。
驚愕したような表情でこちらを見る鬼。
その右肩には、今のひと太刀でついた傷。
畳み掛けるべく近づけば。
「蛸壺地獄!!」
気色の悪い例の鬼は、蛸の足のようなものを壺から出現させる。
それはこぼれた刀を容易く折り、ギチギチとこの身体に巻き付いた。
「先程は少々手を抜き過ぎた。今度は確実に潰して、吸収するとしよう」
………は? 無理だよ?
だって今ここにもう、僕の新しい___________
すぐ近くで苦しげな顔をしながらも、必死でその刀を渡してくれるのは鉄穴森さんだ。
素早く受け取り、鬱陶しい蛸の脚を斬る。
「………俺のために刀を作ってくれて、ありがとう。鉄穴森さん」
「……!! いや、いや………私は……あなたの最初の刀鍛冶の書きつけ通りに作っただけで……」
「そうだったね。鉄井戸さんが最初に、俺の刀を作ってくれた。心臓の病気で死んでしまった……」
その名を口にした途端。
ひょっとこの面を斜めに被り、
過去の記憶は失い、いくら新しいそれを覚えようとしても長続きせず、本当は不安で堪らなかった僕に。
「心配だ」「気掛がかりじゃ」と何度も声を掛けてくれた、あの。
刀を強く強く、握り直せば。
(ああ、しっくりくる)
ほんの微かな違和感すらも無くそれは。
この手に馴染むから。
(………鉄井戸さん、ごめん)
心配かけたなあ。
だけど俺は、もう大丈夫だよ。
「霞の呼吸・伍の型、霞雲の海」
___________何の迷いもなく、貴方の刀を。
また別の壺へと逃げ込んだ鬼の頚元からは、血飛沫が上がった。
最終宣告。
「次は斬るから。お前のくだらない壺遊びに、いつまでも付き合ってられないし」
あの、煮え
鬼を滅ぼすために。
奴らを根絶やしにするために、僕は。
___________この刃を、振るう。
・
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ひよ(プロフ) - メメさん» メメ様、はじめまして!完結からだいぶ経っている作品にコメント頂き、本当にありがとうございます😭 嬉しかったです!現世編の方ではもっと青春してますので、宜しければそちらも是非♥ (4月27日 13時) (レス) id: 03402cf4a3 (このIDを非表示/違反報告)
メメ - 良すぎます!なんかもう、わー青春だねーって感じします。最後の方。 (4月26日 13時) (レス) @page48 id: 7b4a5b0ad7 (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - 優衣さん» 優衣さま、はじめまして!コメントありがとうございます、すっごく嬉しかったです♥️ 原作軸は原作の結末通りに書きたい派なので、、現代転生後のハピエンとしました…! (7月30日 21時) (レス) id: 03402cf4a3 (このIDを非表示/違反報告)
優衣 - 無一郎が夢主ちゃんのお面を「オカメ」と言っていたのが面白かったです❗夢主ちゃんと無一郎が現代で幸せになれる事を願います❗ (7月30日 16時) (レス) @page50 id: fa32b0552b (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - さざんかさん» さざんか様、はじめまして!コメありがとうございました! 読んで頂いた上、、嬉し過ぎるお言葉を頂き、こちらこそ感謝感激です(泣) 鬼殺隊の面々には、現世では何でもない幸せを堪能して欲しい…!という願望のラストでした。気に入って頂けて良かったです(泣) (6月6日 12時) (レス) id: 03402cf4a3 (このIDを非表示/違反報告)
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