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念願のレストランで、それはそれは美味しいランチを堪能させてもらって。
少し街をブラブラと買い物だなんてこれ、本当にデートそのものだ。
「本当は夜に、Aを食べたかったんだけど」
『うん、致命的な助詞のチョイスミス』
「本当は夜
え、まさかあえての間違いだったら怖い。
「ああ、つい本音が出てしまったかな?」
『そんなついうっかり☆みたいなノリで、口走れる内容じゃねーですよ』
しかもさり気なく「本音」って言ったよな今。
今日一日、わりと(セクハラが)おとなしかったと思いきや、最後の最後で。(白目)
チッ、と隠すことなく舌打ちした私に、夏油先輩はおおらかに笑う。
「そんなに怒らないで。好きな子に触れたいと思うのは、自然な欲求だろう?」
_____それくらい本気で好きだよ、A。
『………っ、』
すぐに続けられたのは、まごう事なき告白で。
あまりにストレートなそれに息を飲んだ私の右手は優しく、夏油先輩に捕らえられる。
「今、この瞬間じゃなくていいから………私を選んで欲しい」
似合わないほどのそんな健気なセリフと共にその甲へと落とされたのは、怖いくらい絵になるキスだったから。
『………もう少し、考えさせて下さい』
「もちろん。悟とのデートも、これからだろう?」
今日のこの約束は単純に、日中、夏油先輩に任務の予定が入らなかったからだ。
五条先輩は朝から任務の掛け持ちらしいし、夏油先輩はこの今から1件入っているらしい。
知ってたけど特級って大変だな……(他人事ですまない)
夏油先輩は私の右手を解放すると、今度はそう聞きながら頭を撫でた。
こくりと頷いた私に、女子寮の入口を指し。
「じゃあまたね、A」
『あ、今日は本当にありがとうございました………その、』
すごく楽しかったです、と。
これまた素直な感想を漏らせば、夏油先輩は一瞬目を見張ってから、口元をその大きな手で押さえ。
「………今からの任務、頑張れそうだ」
『……?? まあ、それは何よりです』
お気をつけて、と下げた私の頭をもうひと撫でしてから。
夏油先輩は軽やかに、夕闇へと消えたのだった。
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ひよ(プロフ) - ナミさん» ナミ様、こちらの話し作品にまでコメント頂き、本当にありがとうございました!嬉しかったです♥️ (2023年4月8日 14時) (レス) id: 03402cf4a3 (このIDを非表示/違反報告)
ナミ - コメント失礼します。すごく面白かったです!最後まで面白いです!!最高です(^^) (2023年4月8日 10時) (レス) @page50 id: cbde72f558 (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - みーちゃんさん» みーちゃん様、はじめまして!完結済みのこちらにコメントして下さって本当にありがとうございます♥️ めちゃくちゃ嬉しかったです!お気に召して頂けたようで、光栄です! (2023年3月27日 16時) (レス) id: 03402cf4a3 (このIDを非表示/違反報告)
みーちゃん - 最高過ぎます...。オチが夏油サマと五条サマが交互にいらっしゃる(語彙力)のが最高過ぎますしTT最後の話もおもろくて最高···尊い (2023年3月27日 15時) (レス) @page50 id: 242dc6d800 (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - 夜月さん» 夜月さま、最後の最後までお付き合い頂き、本当にありがとうございました♥ 頂けたコメントのおかげで、何度助けられたかわかりません…!私もこの夢主、書きやすかったです(笑) また気が向かれましたら、新作も宜しくお願い致します! (2023年1月23日 20時) (レス) id: 03402cf4a3 (このIDを非表示/違反報告)
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