Day 1 ページ6
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まずこの現在、私達はわりと至近距離で話しているのだが。
(お酒の匂いが全然しない……)
当然ながら、私は臭い。←
摂取したアルコールはもちろん、着ている服からも、居酒屋特有のあの匂いがしているはず。
でもこの人は。
「……おい、ここは一体……」
『え、あ…………○○駅の近くの公園、です……』
「は……駅ィ……?」
酔っ払いでないことはもう、明らかだ。
定まってきた視線は強く、威圧感すら覚える。
ごくりと一度、喉を鳴らした。
『あの……あなたはお酒に酔って、ここで寝てたんじゃないんですか……?』
落ち着け。
自分に言い聞かせながら、ゆっくりと発音して確認する。
その人は私の問いに眉を寄せ___
「……酒なんざ飲んでねェ。さっき俺は確かに、川に流されてた犬を……」
『川? 犬、って……』
……………何の話だ。
ここは公園、近くにも川なんてない。
え、もしかしてほんとにヤバい人だった……?
やらかしたか私?
多分青ざめたであろう私を見据えるその人も、この現状をまったく理解できていないらしい。
あちらこちらへ視線を向ける。
「……見覚えすらねェな」
どうなってンだ、と綺麗な銀色を無造作に掻きむしり、苛立ったように舌打ちをした。
正直怖い。
怖いけどでも………………夢女の好奇心には勝てない。
あの、とその場に正座をして口を開いた。
『あなたは、レイヤーではないんですか?』
「はァ?………れい、やあ?」
初めて聞いた、と言わんばかりの表情。
いや、まさか。
そんな夢しょみたいな現実、あるわけないだろ。
ご都合展開が満載過ぎる。
ごくりともう一度、喉を鳴らした。
『差しつかえなければ、ですけど……』
お名前、教えて頂けませんか?と。
身を乗り出した私に、その人はやっぱり眉を寄せ___
「………不死川、実弥」
風柱最推しのこの私が、これまで幾度となく(勝手に)呼んできたその名を。
怪訝そうな声色で、発した。
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ひよ(プロフ) - ツナミカワさん» ツナミカワ様、はじめまして!完結からだいぶ経っているこんな作品にコメントを頂き、本当にありがとうございます(泣) 個人的にはバドエンも嫌いではないのですが←、現世での救済はできればしたいと考えて書いています…!また何かのお話でお会いできれば光栄です♥ (3月2日 9時) (レス) id: 03402cf4a3 (このIDを非表示/違反報告)
ツナミカワ(プロフ) - バッドエンドになりそうで泣いてたのにそこからハッピーエンドで好きって言われたら泣かずにはいられなかった (3月1日 18時) (レス) @page45 id: 8933f39901 (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - ☆雪☆さん» アニメ柱稽古編の発表もありましたし、また何かネタが浮かびましたら実弥さんも書きたい気持ちはあります。その際もし見つけて頂ければ、またお会いしたく。ありがとうございました♥ (12月11日 21時) (レス) id: 03402cf4a3 (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - ☆雪☆さん» ☆雪☆さま、はじめまして!こんな完結済の話に、恐縮してしまうほど光栄なコメントを本当にありがとうございます!(泣) 今年の実弥さんの生誕も、「アラカルト短編集」という作品の中でお祝いしておりますので、お暇時間にでも覗いてやって下さい…! (12月11日 21時) (レス) id: 03402cf4a3 (このIDを非表示/違反報告)
☆雪☆(プロフ) - 他の作品も色々と読ませて頂いて、ひよさんの描く実弥さんが好きで楽しく読ませて頂いてます。またこれからも読ませて頂きますね。 (12月11日 18時) (レス) id: dd2cbdffb8 (このIDを非表示/違反報告)
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