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「……お、ツマミ追加すっかァ?」
テーブルの上のお皿が空きかけたのを見て、実弥さんがメニュー表を回し始める。
よっ!気も利くイイ男!!
「……鮭大根を頼む」
『期待を裏切りませんね、冨岡さん』
やっと喋ってくれたと思ったら、第一声が「鮭大根」て。
生まれ変わっても好物って不変なんだな……
確かに実弥さんもまだ、おはぎ大好きだしな……
それにしてもほんっっっと水柱は、顔面が正義。
そのお顔だけで、こっちはお酒飲めるよ。
「………」
『いだだだだだだ、何もっ!やましいことは何も、考えてないですっ!』
え、何?
風の呼吸って、エスパー機能なんか付いてないよね??
これが現代版、っていうなら、柱現役の頃の握力とは……と遠い目になりながら、鷲掴みにされた頭を撫でさする。
「Aは全部、顔に出てンだよなァ」
『まあ、単純なのは認める』
「ははっ、いいじゃん可愛くて」
『エッ……!』
「………」
『いだだだだだだ、すみませんっ!確かに今は、宇髄さんにちょっときゅんしましたっ!』
またしても食らったアイアンクローに、涙目になったところで。
「………嗚呼、可哀想に……南無阿弥陀仏……」
『悲鳴嶼さんありがとうございます光栄です』
あとやっぱり今でも、すぐ涙出ちゃうんですね……!
慈悲深いのはお変わりないんですねっ……!
すぐ目の前で、美味しそうにお酒を飲んで笑う皆を見ているだけで、私はもう。
『……胸がいっぱい……』
小さく呟けば、すぐ隣では小さく笑う気配。
見上げた先には、優しい顔の____
「……満足したかァ?」
『そりゃもう。推し達の平和な日常が見られて、思い残すことがないくらい幸せ』
「ふはっ………まだ長生きしてくれや。Aが居ねェと、オレが困ンだわ」
『!』
ぽん、と今度は優しく、頭を撫でられ。
そんな風に笑うのはほんとズルいよ、私の最推し。
右耳に寄せられた唇から、紡がれた囁きは。
「………不死川。お前の恋人が、何やら困っているようだが?」
多分真っ赤に染まった頬を押さえる私を見て、伊黒さんは呆れた色で、助け舟を出してくれたけれど。
「さァ?」なんてシラを切るこの人が、やっぱり大好きだ。
『も、無理ィ……好きィ……!』
「クク………知ってる」
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ひよ(プロフ) - ツナミカワさん» ツナミカワ様、はじめまして!完結からだいぶ経っているこんな作品にコメントを頂き、本当にありがとうございます(泣) 個人的にはバドエンも嫌いではないのですが←、現世での救済はできればしたいと考えて書いています…!また何かのお話でお会いできれば光栄です♥ (3月2日 9時) (レス) id: 03402cf4a3 (このIDを非表示/違反報告)
ツナミカワ(プロフ) - バッドエンドになりそうで泣いてたのにそこからハッピーエンドで好きって言われたら泣かずにはいられなかった (3月1日 18時) (レス) @page45 id: 8933f39901 (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - ☆雪☆さん» アニメ柱稽古編の発表もありましたし、また何かネタが浮かびましたら実弥さんも書きたい気持ちはあります。その際もし見つけて頂ければ、またお会いしたく。ありがとうございました♥ (12月11日 21時) (レス) id: 03402cf4a3 (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - ☆雪☆さん» ☆雪☆さま、はじめまして!こんな完結済の話に、恐縮してしまうほど光栄なコメントを本当にありがとうございます!(泣) 今年の実弥さんの生誕も、「アラカルト短編集」という作品の中でお祝いしておりますので、お暇時間にでも覗いてやって下さい…! (12月11日 21時) (レス) id: 03402cf4a3 (このIDを非表示/違反報告)
☆雪☆(プロフ) - 他の作品も色々と読ませて頂いて、ひよさんの描く実弥さんが好きで楽しく読ませて頂いてます。またこれからも読ませて頂きますね。 (12月11日 18時) (レス) id: dd2cbdffb8 (このIDを非表示/違反報告)
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