「元・風柱に、拾われました」 ページ43
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『……ポ、ポリス川のコスプレとか……!マニアックが過ぎやしませんか……?!』
口をはくはくさせながら振り返った私に、警察官の制服を身に着けたその人は、喉奥でクツクツと楽しげに笑う。
そうして、自分の袖を掲げてみせて。
「クク……生憎、コスプレじゃねんだよなァ」
一緒に過ごした日々ではあまり見られなかった、不敵な笑みで肩を竦める。
ねえ嘘でしょ、だって。
こんな夢小説みたいな現実、何度もあるわけないでしょ。
それはご都合展開にも程が___
またも込み上げそうになった嗚咽を堪え、ごくりと喉を鳴らして。
『っ、差しつかえなければ、ですけど……』
お名前、教えて頂けませんか?と。
ベンチから立ち上がり向かい合った私に、おまわりさんはやっぱり眉を寄せ___
「…………不死川、実弥」
『そこ実弘じゃないんだ……!』
「ツッコむとこかァ? ………ったく、変わンねェなァAは」
「っつっても実際、ンな時間は経ってねェか」なんて。
期待、させないでよ実弥さん。
頭に降りてきたのはあの、大きくて優しい。
温かな感触。
「……ったく、夜に一人で外なんざフラフラしてる奴ァ……」
しゃあねェからオレが拾ってやらァ、という笑みを含んだ声と、ほぼ同時に。
私の身体はそのたくましい腕で、思いきり抱きすくめられる。
『っ……さね、実弥さんっ………今、いくつ……?』
ああ、やっぱりいい匂いがする。
たったの22時間しか離れていなかったのに、懐かしいなんて本当。
私は末期だ。
またクツクツと、頭上で小さく笑う声。
「おォ………今日で、25ンなってなァ。だからAにゃ……」
「ケーキで祝ってもらうのは、とりあえず後にして」と、私の涙を拭って不敵に笑い。
『……っ!』
「……ずっとしたかったこと、プレゼントで貰うわ」
重ねられた唇はひどく、熱を帯びていて。
彼がこの時代に生きているという実感を、私へと与えてくれたから。
うん。夢でも妄想でもない。
一生分の幸運は使い果たしただろうけど、どうやら私は____
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ひよ(プロフ) - ツナミカワさん» ツナミカワ様、はじめまして!完結からだいぶ経っているこんな作品にコメントを頂き、本当にありがとうございます(泣) 個人的にはバドエンも嫌いではないのですが←、現世での救済はできればしたいと考えて書いています…!また何かのお話でお会いできれば光栄です♥ (3月2日 9時) (レス) id: 03402cf4a3 (このIDを非表示/違反報告)
ツナミカワ(プロフ) - バッドエンドになりそうで泣いてたのにそこからハッピーエンドで好きって言われたら泣かずにはいられなかった (3月1日 18時) (レス) @page45 id: 8933f39901 (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - ☆雪☆さん» アニメ柱稽古編の発表もありましたし、また何かネタが浮かびましたら実弥さんも書きたい気持ちはあります。その際もし見つけて頂ければ、またお会いしたく。ありがとうございました♥ (12月11日 21時) (レス) id: 03402cf4a3 (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - ☆雪☆さん» ☆雪☆さま、はじめまして!こんな完結済の話に、恐縮してしまうほど光栄なコメントを本当にありがとうございます!(泣) 今年の実弥さんの生誕も、「アラカルト短編集」という作品の中でお祝いしておりますので、お暇時間にでも覗いてやって下さい…! (12月11日 21時) (レス) id: 03402cf4a3 (このIDを非表示/違反報告)
☆雪☆(プロフ) - 他の作品も色々と読ませて頂いて、ひよさんの描く実弥さんが好きで楽しく読ませて頂いてます。またこれからも読ませて頂きますね。 (12月11日 18時) (レス) id: dd2cbdffb8 (このIDを非表示/違反報告)
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