風柱、拾いました【不死川実弥】

Day １６ ページ32

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『……ってなわけでせっかくだから、ここで夕飯も食べてこ！』



少し早めだけど、と実弥さんを引っ張って行った先も、やっぱりこの辺りでは老舗として有名な＿＿＿＿



「ハ、おい待て嘘だろォ……………この店、」


『え、すごい。ほんとに知ってた？』


「知ってるも何も………来たことあんぞ。宇髄と……ふはっ………冨岡ともなァ」


『ま？！』



ランチの焼き鳥丼でいつも行列ができる、有名なこの焼き鳥屋さんには、私も何度か来たことがあったけれど。


いやまさか、音と水と風も(むかーし昔に)来ていたとは……！



「建物は全く違うが………店の名は馴染み深ェ」


『あー、さすがに建て替えたみたいだからね』



なるほど、とその門構えを眺めた実弥さんと揃って、趣のある暖簾をくぐった。

綺麗な店内、カウンターへと通される。



『はい、じゃあ京橋ツアーお疲れさまでした！』


「俺は連れてきてもらっただけだ。Aのが疲れただろ」



ありがとなァ、なんて。
その笑顔でもう十分……お釣りがきます……(泣)



グラスビールで乾杯し、ひとまず喉をうるおしたら、今夜は気分的に日本酒だ。熱燗と焼き鳥。



「冨岡が、ここの焼き鳥気に入りでよォ」


『あ、宇髄さんオススメじゃなくて？ えー意外』



ぎゆさんて鮭大根しか食べないのかと。(偏見)

いや、そういえば………原作の最後でも、焼き鳥っぽい串を買ってるシーンあったな！



『うわ、このお店かもって思ったら荒ぶるわ！』


「ふはっ………荒ぶる、って何だよ」



次々と出される美味しい焼き鳥や料理に舌鼓を打てば、お酒も当然進むというもの。

実弥さんもどこか、ご機嫌に見える。



「……俺の居る世界とこの世界、全く次元が違ェんだと思ってたが……」



案外、繋がってンのかもなァと。
もしそんな可能性があるのなら。



『……だとしたらやっぱ、実弥さん達には感謝しかないなあ』


「あァ？」



だって、と実弥さんの杯におかわりを注ぎ。



『鬼が居ない世界に、実弥さん達が…………してくれたんだもんね』



ありがとう、そしてお疲れさまと続けた私の頭には、例の如く。

実弥さんの温かな手がゆっくりと、降りてきたのだった。


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