Day 12 ページ25
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『………うわあ、』
「へェ………これ電気か」
私の部屋とは、駅を挟んで反対側のけやき通り。
毎年この時期には、木々達が電飾に彩られるのがお決まりだ。
『ド派手に綺麗だね!』
「……ふは、ンだよそれ。宇髄の真似かァ?」
『そーそー。音柱こういうの好きそうだな、って』
違ェねェ、と笑う実弥さんに合わせて笑う。
もちろん私は会ったことがない人だけれど、こんな風に実弥さんと、話が通じるのが本当に嬉しい。
「………すげェことなんだよな」
私のすぐ右側で、視線はイルミネーションに向けたまま、実弥さんはしみじみと呟いた。
ん?と促せば数秒、黙ってから。
「理屈は知らねェが…………とにかくこの世界に紛れ込んじまった俺を見つけたンが」
Aだったっていう偶然が、と。
瞳を細めて。
「俺が驚くぐれェに、お前は俺らのことをよく知ってやがる」
『それはもう。原作からファンブックから、番外編小説まで履修してますし!』
軽く胸を張ってみせた私に、実弥さんは小さく吹き出した。
「まァ…………お陰で俺もこうして、 ” ここで生きてる ” っつう訳だ」
改めてありがとうなァA、と実弥さんは私の頭に手をのせる。
『頭ポンポンが大好物』という私の申告は、どうやら刷り込まれたらしい。
その温かさを堪能して。
『………私はむしろ、ご褒美もらったって思ってるから』
それこそ生きる次元が違う貴方を、好きになって。
本当に会えるはずなんてないのは重々わかっていたから、勝手に色んな妄想をして勝手に満足して。
そう……………満足してた、けど。
『 ” 同じ世界で ” 実弥さんに会えたのは、うん………やっぱりご褒美なんだよ、私にとって』
一緒にご飯を食べたり、他愛もない話をして笑ったり、こんな風に綺麗なものを一緒に観られて。
『………落ちててくれてありがとう、実弥さん』
「言い方なァ」
しみじみお礼を言ったつもりだった私の頭を、撫でてくれていたその手は。
苦笑の色と共にコツンと軽く、叩いてきたのだった。
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ひよ(プロフ) - ツナミカワさん» ツナミカワ様、はじめまして!完結からだいぶ経っているこんな作品にコメントを頂き、本当にありがとうございます(泣) 個人的にはバドエンも嫌いではないのですが←、現世での救済はできればしたいと考えて書いています…!また何かのお話でお会いできれば光栄です♥ (3月2日 9時) (レス) id: 03402cf4a3 (このIDを非表示/違反報告)
ツナミカワ(プロフ) - バッドエンドになりそうで泣いてたのにそこからハッピーエンドで好きって言われたら泣かずにはいられなかった (3月1日 18時) (レス) @page45 id: 8933f39901 (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - ☆雪☆さん» アニメ柱稽古編の発表もありましたし、また何かネタが浮かびましたら実弥さんも書きたい気持ちはあります。その際もし見つけて頂ければ、またお会いしたく。ありがとうございました♥ (12月11日 21時) (レス) id: 03402cf4a3 (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - ☆雪☆さん» ☆雪☆さま、はじめまして!こんな完結済の話に、恐縮してしまうほど光栄なコメントを本当にありがとうございます!(泣) 今年の実弥さんの生誕も、「アラカルト短編集」という作品の中でお祝いしておりますので、お暇時間にでも覗いてやって下さい…! (12月11日 21時) (レス) id: 03402cf4a3 (このIDを非表示/違反報告)
☆雪☆(プロフ) - 他の作品も色々と読ませて頂いて、ひよさんの描く実弥さんが好きで楽しく読ませて頂いてます。またこれからも読ませて頂きますね。 (12月11日 18時) (レス) id: dd2cbdffb8 (このIDを非表示/違反報告)
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