Day 2 ページ9
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ありえん。
いや嘘だろ…………こんなの、夢に決まってるだろ。
ガチの夢女ではあれど、妄想と現実の境くらいはわかっているつもりだ。これでも。
でもまさか………違うのかこれ……?
『ほんもの……?』
改めてその顔を見つめれば、やっぱりあの人にしか見えなくて。
『何でこんな所に風柱が……』
「そりゃ俺が聞きてェんだがなァ」
少々疲れた様子で、ドカッとラグの上に座ったその人は、綺麗な銀色の髪を無造作に掻きむしりながら溜息をつく。
そうして私へと、視線を合わせた。
「………でェ? お前は何故、俺を知ってやがる」
『え……』
「昨夜お前は何度も俺を、『風柱』と呼んだなァ…………何故その名を知ってんだ」
その凄みに思わず圧倒されていれば、風柱は部屋の中をもう一度、ゆっくりと見渡した。
「言葉が通じてるってことは、ここは日本なんだろうよ。だが俺の知る日本とは、見るもの全てが違ェ」
ですよね。
鬼滅の世界は大正時代の設定だ、令和のこの世とは何もかもが違って当然。
「だからここは多分、俺の知る日本じゃねェんだろ。もちろんお前のことも知らねェ………なのにお前は、俺を知っているらしい」
お前は一体何者だ、と短く切り込んできた迫力は、さすが柱とでも言うべきか。(すみません、知ったかぶって)
ううーん……。
もし私の仮説、というか妄想が合っているとして。
どう説明するのが一番わかりやすく、かつ説得力があるんだろう。
『……あ! 不死川さんて確か、字は読めるんでしたよね!』
「あァ?」
何でンなことまで、と語る鋭い視線はとりあえず無視して、私はベッドから立ち上がる。
さして広くはない部屋に置く本棚へと視線を投げ、その単行本に手を伸ばした。
風柱の初登場は、柱合裁判の回だから………6巻からでいいか。
「鬼滅の刃」と背表紙に書かれた黒いそれらの、6巻から23巻までを両腕に抱え。
『………不死川さんが、信じるか信じないかはともかく』
ちょっとこれ読んでみて下さい、と。
眉間のシワを深めた風柱の前へ、それらを積み上げた。
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ひよ(プロフ) - ツナミカワさん» ツナミカワ様、はじめまして!完結からだいぶ経っているこんな作品にコメントを頂き、本当にありがとうございます(泣) 個人的にはバドエンも嫌いではないのですが←、現世での救済はできればしたいと考えて書いています…!また何かのお話でお会いできれば光栄です♥ (3月2日 9時) (レス) id: 03402cf4a3 (このIDを非表示/違反報告)
ツナミカワ(プロフ) - バッドエンドになりそうで泣いてたのにそこからハッピーエンドで好きって言われたら泣かずにはいられなかった (3月1日 18時) (レス) @page45 id: 8933f39901 (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - ☆雪☆さん» アニメ柱稽古編の発表もありましたし、また何かネタが浮かびましたら実弥さんも書きたい気持ちはあります。その際もし見つけて頂ければ、またお会いしたく。ありがとうございました♥ (12月11日 21時) (レス) id: 03402cf4a3 (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - ☆雪☆さん» ☆雪☆さま、はじめまして!こんな完結済の話に、恐縮してしまうほど光栄なコメントを本当にありがとうございます!(泣) 今年の実弥さんの生誕も、「アラカルト短編集」という作品の中でお祝いしておりますので、お暇時間にでも覗いてやって下さい…! (12月11日 21時) (レス) id: 03402cf4a3 (このIDを非表示/違反報告)
☆雪☆(プロフ) - 他の作品も色々と読ませて頂いて、ひよさんの描く実弥さんが好きで楽しく読ませて頂いてます。またこれからも読ませて頂きますね。 (12月11日 18時) (レス) id: dd2cbdffb8 (このIDを非表示/違反報告)
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