Day 3 ページ14
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『え。もう要らないの? 服』
「洗濯は出来ンだろォ? こんだけありゃ十分だわ」
お買い上げしたショップの紙袋を掲げ、不死川さんは肩を竦めた。
ちなみに「着て帰ります!」と私が勢い込んで申告したため、もう見た目だけなら完璧な現代のイケメンである。ふふふん。
あ。またすれ違った女どもが二度見しやがった。
「……家に厄介になるだけじゃねェ、服だの何だのまで買わせちまって……」
本当にすまねェ、とまたひどく律儀に、頭を下げる不死川さん。
いやいやいやいや。
『推しにリアルで貢げるとか、ほんと私的に至上の喜びだから。申し訳ないとか思わないで』
「お前ちょいちょい、俺が理解出来ねェ言葉使うよなァ」
まあその辺は、雰囲気で察して欲しい。
不死川さんに当面必要そうな生活雑貨関連、それから食料品なんかも買い込み、アパートの部屋へと戻ってきた。
「気が張って疲れたでしょ、お茶煎れるから楽にしてて」
ソファへ促し、テレビの電源を入れれば、その視線はやっぱりそれへと釘付けになる。
昨日、初めて点けてみせた時の反応よ。
それだけで短編書けそうだったわ。(夢女の鑑)
お盆にお茶と「例のブツ」を乗せ、ローテーブルの上へことりと置いた。
「………」
『好きでしょ、それ。私の見解だと、風柱はどっちかっていうと粒あん派なんだけど』
召し上がれ、と続けた私に向けられたのは、驚いたような視線に少しの喜びの色。
そうして不死川さんは、おはぎがのった皿を手に取る。
「………美味ェ」
『おお、良かった! そのお店、ここら辺じゃそこそこ有名なんだよ』
鬼滅の原作最終回の日は、べそべそ泣きながらそのおはぎ、一人で食べたっけなあ……
まさか風柱と一緒に食べられるなんて。
『………はっ!』
写真と動画撮るの、すっかり忘れてるじゃん!!
おはぎを頬張る風柱は撮らないと!
リアルでもこんなに可愛いんだし!
おはぎに夢中な不死川さんに止められる前に、素早くスマホを操作する。
いや私、この画像あれば何があっても今後生きていけると思うわ。うん。
(………え?)
ニヤニヤしながら隠し撮りしたものを確認し、思わず固まってしまったのは仕方ない。
何故なら。
『なんで……?』
目の前に居るはずの不死川さんが、どこにも___
映っていなかったの、だから。
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ひよ(プロフ) - ツナミカワさん» ツナミカワ様、はじめまして!完結からだいぶ経っているこんな作品にコメントを頂き、本当にありがとうございます(泣) 個人的にはバドエンも嫌いではないのですが←、現世での救済はできればしたいと考えて書いています…!また何かのお話でお会いできれば光栄です♥ (3月2日 9時) (レス) id: 03402cf4a3 (このIDを非表示/違反報告)
ツナミカワ(プロフ) - バッドエンドになりそうで泣いてたのにそこからハッピーエンドで好きって言われたら泣かずにはいられなかった (3月1日 18時) (レス) @page45 id: 8933f39901 (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - ☆雪☆さん» アニメ柱稽古編の発表もありましたし、また何かネタが浮かびましたら実弥さんも書きたい気持ちはあります。その際もし見つけて頂ければ、またお会いしたく。ありがとうございました♥ (12月11日 21時) (レス) id: 03402cf4a3 (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - ☆雪☆さん» ☆雪☆さま、はじめまして!こんな完結済の話に、恐縮してしまうほど光栄なコメントを本当にありがとうございます!(泣) 今年の実弥さんの生誕も、「アラカルト短編集」という作品の中でお祝いしておりますので、お暇時間にでも覗いてやって下さい…! (12月11日 21時) (レス) id: 03402cf4a3 (このIDを非表示/違反報告)
☆雪☆(プロフ) - 他の作品も色々と読ませて頂いて、ひよさんの描く実弥さんが好きで楽しく読ませて頂いてます。またこれからも読ませて頂きますね。 (12月11日 18時) (レス) id: dd2cbdffb8 (このIDを非表示/違反報告)
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