Day 2 ページ11
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「理屈は全くわからねェが………とにかく俺は、お前の " この世界 " に紛れ込んじまった、ってことか」
「私もまだ正直信じられないですけど………多分」
「ご馳走さん」と律儀に手を合わせた風柱の前に置いたお盆の上は、綺麗に空になっている。
こっちの食べ物、受け付けるんだな。
良かった。
もう一度お茶を啜ってから、風柱は「さて」とおもむろに立ち上がった。
「世話ンなったなァ。一晩泊めてもらった上に飯まで………何も礼が出来ねェのは心苦しいが」
感謝する、とそれは明確な発音をして。
風柱は玄関へと向かう。
『え………不死川さん、どこに行くんですか?』
「ま………適当に、帰れそうな方法試してみるわァ」
川でも探して飛び込んでみっか、と不穏な発言を重ねたその背中を、慌てて掴む。
それただの身投げですから。
『いいですか不死川さん。今のこの世界は、不死川さんが居た世界の設定から、100年以上は経ってるんです』
「……」
『言葉は通じても、通貨やその価値、文化だって変わってます。色んな場面で、警察に突き出されるのがオチですよ』
最愛の推しが警察に捕まるなんて!
夢女的にポリス川は大好物だけど、風柱が捕まる方になるのは断じて許さん!!
ところで風柱は、「学は無くとも頭が良い」というのが、多くの風柱推し夢女の脳内設定だと思う。
その期待を裏切らず、風柱はもう一度黙って、何やら考え込んでいるようだ。
ここぞとばかりに畳み掛ける。
『私にはちゃんと仕事も収入もありますし、ここは私が借りている部屋です。不死川さんの一人や二人、養えます』
「養う、ってお前……」
『私はこの漫画も、風柱様も大好きなんです。推しが困っているのを見過ごすことなんて、』
出来ません!!と半ば叫ぶように、言葉を締めた私に。
風柱はあっけに取られたような顔をしてから「参ったァ……」と、低い声で呟いたのだった。
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ひよ(プロフ) - ツナミカワさん» ツナミカワ様、はじめまして!完結からだいぶ経っているこんな作品にコメントを頂き、本当にありがとうございます(泣) 個人的にはバドエンも嫌いではないのですが←、現世での救済はできればしたいと考えて書いています…!また何かのお話でお会いできれば光栄です♥ (3月2日 9時) (レス) id: 03402cf4a3 (このIDを非表示/違反報告)
ツナミカワ(プロフ) - バッドエンドになりそうで泣いてたのにそこからハッピーエンドで好きって言われたら泣かずにはいられなかった (3月1日 18時) (レス) @page45 id: 8933f39901 (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - ☆雪☆さん» アニメ柱稽古編の発表もありましたし、また何かネタが浮かびましたら実弥さんも書きたい気持ちはあります。その際もし見つけて頂ければ、またお会いしたく。ありがとうございました♥ (12月11日 21時) (レス) id: 03402cf4a3 (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - ☆雪☆さん» ☆雪☆さま、はじめまして!こんな完結済の話に、恐縮してしまうほど光栄なコメントを本当にありがとうございます!(泣) 今年の実弥さんの生誕も、「アラカルト短編集」という作品の中でお祝いしておりますので、お暇時間にでも覗いてやって下さい…! (12月11日 21時) (レス) id: 03402cf4a3 (このIDを非表示/違反報告)
☆雪☆(プロフ) - 他の作品も色々と読ませて頂いて、ひよさんの描く実弥さんが好きで楽しく読ませて頂いてます。またこれからも読ませて頂きますね。 (12月11日 18時) (レス) id: dd2cbdffb8 (このIDを非表示/違反報告)
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