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そんな気配を彼から感じたことなど、これまで無かった。
だって憂太くんはいつも優しい。
優しくて、甘い。
「Aは伏黒くんに会ったの、初めて?」
確認の問いに頷き『五条先生に紹介してもらった』と説明すれば、彼も頷く。
「そっか………4月からは同級生になるんだ。Aのこと宜しくね、伏黒くん」
「…………そういうつもりはないんで、俺」
「いや………ただの同級生としてならむしろ、仲良くして欲しいと思うよ」
『?………憂太くん?』
何だか面倒くさそうな様子の伏黒くんに、笑顔のままの彼。
2人の会話がいまいち良く飲み込めず、交互にその顔を見やった。
伏黒くんは小さく、息を吐く。
「とりあえず、今日は帰ります」
「もう?……………残念だな。またね」
『あ、………伏黒くん、またね!』
さっさと歩き出してしまったその背に、声を掛ければ。
ひらりと少しだけ、右の手が振られた。
何となく視線をそのままにしていると、すぐ隣からは大きな溜息。
『憂太くん、今朝の任務大変だったの?』
気のせいかも知れないけれど、先程のわずかな苛立ちの色も、今の溜息も。
疲れているのかな、と私は胸内で、結論づけていた。
「いや、任務は別に…………どうして?」
軽く首を傾げた彼に、自分なりに考えた根拠を説明すれば。
「………ああ、うん。そうだよね」
Aちゃんにはやっぱりわからないか、と今度は困ったように笑う。
そうして、真希さん達の方へと向き直り。
「ちょっと疲れたから、寮で休憩してくる!」
いつもより張られたその声に、皆は一斉に振り返る。何故か揃って、面白そうに笑っているようにも見えた。
「気ぃつけろよー、A」
「応。頑張れとしか言えん」
「高菜、明太子……!」
先輩達の反応とセリフの意味がわからず、疑問符だらけになった私の左手は。
「休憩、付き合ってね。Aちゃん」
憂太くんの意外と大きな手に強く握られ、そのまま誘導されるように、引かれたのだった。
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ひよ(プロフ) - まる麺さん» まる麺さま、はじめまして!コメントありがとうございますめちゃくちゃ嬉しかったです♥ ぶっ通し…!眼精疲労は大丈夫でしょうか、、でも胸焼けして頂けたようで良かったです😭 (10月29日 11時) (レス) id: 03402cf4a3 (このIDを非表示/違反報告)
まる麺 - 最初から最後までぶっ通しで見ましたが甘々で胸焼けしますね!とっても良いです!素晴らしい作品をありがとうございます! (10月29日 3時) (レス) @page38 id: 1349e0699e (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - ナミさん» つまり、メアド要の「ログイン」をしなければのりません。ナミ様の下記の端末ですと非ログとお見受けしますので、、そちらからでは閲覧できないかと思います。大変申し訳ありませんが、可能ならログインしてプロフィールを取り、設定をお試し下さいませ! (2023年4月8日 14時) (レス) id: 03402cf4a3 (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - ナミさん» ナミ様、はじめまして!コメありがとうございます♥️ 嬉しかったです!こちらの続編ですが、アール18フラグを立てているため、アール18作品を閲覧できるように、マイページ→設定→コンテンツの設定にて「18歳以上ですか?」に「はい」のチェックが必要です。 (2023年4月8日 14時) (レス) id: 03402cf4a3 (このIDを非表示/違反報告)
ナミ - 初コメ失礼します!すごく面白かったです!質問なのですが,続編ってどうすれば見れますか?分からなくて…,もしよろしければ教えてください!! (2023年4月8日 11時) (レス) id: cbde72f558 (このIDを非表示/違反報告)
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