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強い痛みだったわけではない。
でも何というか、驚いてしまった。
何故、と問うように目を合わせれば、そこに宿る熱は、先程より増していて。
『……何か、怒って……ますか?』
「さあ…………どうだろう」
『んっ………』
歯を立てられたその場所を、今度は宥めるように、熱く柔らかな舌が這う。
その感触に、背中から震えた。
「………言ったはずだ。悟には気をつけるように、とね」
その名が出て初めて、思い当たる。
さっきの事務室での。
「あんなに近くに寄らせて。どういうつもりだったのかな?」
『あの、違っ、………!』
ん?と問い詰めながらも、その唇は私の首から胸元まで、そこかしこを滑っていく。
時折止まるのは、小さな紅を咲かせているからだろう。
明日も授業があるというのに。
『っ、でも………五条先生は、何もっ……』
「そう思ってるのは、Aだけかもしれない」
『そんな、こと……』
「………無いと言えるかな?」
本当に?と念を押す声音には何だか、切羽詰まった色すら感じられ。
それはまさか。もしかして。
『傑さん…………焼きもち、ですか?』
思いきって尋ねれば、彼の綺麗な黒眉が寄せられた。
まずかったか、と焦った瞬間、肩先に乗せられたのは、重みのある彼の頭。
はあ、とそこで吐き出された息の熱さに、思わず肩を揺らした。
『あ……違ってたら、その………』
恥ずかしいと続けるより先に、体勢はそのままで、その唇が動く。
「……焼きもちなんて、可愛いものじゃないんだ」
『え……?』
嫉妬で気が狂いそう、なんて言われてしまえば。
私は。
『ごめんなさい。これからは、気をつけますね』
「………本当に?」
『はい。傑さんが嫌がることは私、したくないです』
大好きな人が「それは嫌だ」と言うのなら、当然私は。
『………傑さんが、大好きなので』
すぐ傍の耳元へ、触れるだけのキスと共に、そんな言葉を添えてみれば_____
『んんっ……』
言ったね、とまたしても不敵な笑みをたたえた彼は、私の顎先を軽く拘束してから。
責めるように許すように、甘ったるい程のキスを、寄越したのだった。
10/8 終
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ひよ(プロフ) - まる麺さん» まる麺さま、はじめまして!コメントありがとうございますめちゃくちゃ嬉しかったです♥ ぶっ通し…!眼精疲労は大丈夫でしょうか、、でも胸焼けして頂けたようで良かったです😭 (10月29日 11時) (レス) id: 03402cf4a3 (このIDを非表示/違反報告)
まる麺 - 最初から最後までぶっ通しで見ましたが甘々で胸焼けしますね!とっても良いです!素晴らしい作品をありがとうございます! (10月29日 3時) (レス) @page38 id: 1349e0699e (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - ナミさん» つまり、メアド要の「ログイン」をしなければのりません。ナミ様の下記の端末ですと非ログとお見受けしますので、、そちらからでは閲覧できないかと思います。大変申し訳ありませんが、可能ならログインしてプロフィールを取り、設定をお試し下さいませ! (2023年4月8日 14時) (レス) id: 03402cf4a3 (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - ナミさん» ナミ様、はじめまして!コメありがとうございます♥️ 嬉しかったです!こちらの続編ですが、アール18フラグを立てているため、アール18作品を閲覧できるように、マイページ→設定→コンテンツの設定にて「18歳以上ですか?」に「はい」のチェックが必要です。 (2023年4月8日 14時) (レス) id: 03402cf4a3 (このIDを非表示/違反報告)
ナミ - 初コメ失礼します!すごく面白かったです!質問なのですが,続編ってどうすれば見れますか?分からなくて…,もしよろしければ教えてください!! (2023年4月8日 11時) (レス) id: cbde72f558 (このIDを非表示/違反報告)
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