《後編》改）言えない師範と言わない継子【不死川実弥】

73 : 喪えど、その先へ ページ34

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悪鬼滅殺の宿願を果たした鬼殺隊は今日で、千年の歴史に幕を閉じた。



隊の解散を宣言された後、その重圧からようやく解放されたのであろう輝利哉様は、最後は歳相応に泣きじゃくられ。


それを3人で必死に宥めた後からの鰻は、本当に美味しい。






今日、最後の柱合会議に出席できたのは水と風の2人だけで、その後ろに補佐の私。



あの痣者の話がされた緊急会議に揃っていた仲間達は、もういない。


でもきっと、どこかで見届けてくれただろう。

鬼殺隊の最後を。



『冨岡様は元々イケメンですけど………笑うとそこに、愛嬌も加わりますね』



別に深い意味はなく、率直な感想だった。


直接言われ慣れてはさすがにないのだろう、冨岡様は照れたように口元を手で覆う。



「………いや………そうか？」


「あ？ コイツのどこに愛嬌があるってんだ、目ェ腐ってんじゃねェンかァ？」



今度栗花落に診てもらえ、と言いながら顔を背けた師範につい、冨岡様と目を合わせて笑ってしまう。



『師範もイケメンだっていつも言ってるじゃないですか。そんな別に拗ねなくても』


「………焼きもちという奴か、不死川」



るっせェ、と冨岡様に吐き捨てた師範にまた笑えば、軽く小突かれる右肩。


痛くなさ過ぎて、物足りないような気分になった自分が怖い。



ひとしきり笑いあったところで、冨岡様がふと気づいたように、口を開いた。



「そうだA………鬼殺隊はもう解散したのだし、これからは、様付けで呼ぶのを止めて貰えると……」



距離を感じるからな、とまた困ったような顔で話す冨岡様に、なるほど確かにと相槌を打つ。



『ではこれからはもう………仲間でありお友達、ということでいいんですね。冨岡さん』



私の結論に、冨岡さんはぱああ、と明るい笑顔を見せてくれたというのに。


右からはいつも以上に盛大な舌打ちが聞こえてきたものだから、私はついに、大きな声を上げて笑ってしまった。


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