《後編》改）言えない師範と言わない継子【不死川実弥】

64 : お前ごとき、鬼が ページ25

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(………どこがどこだか、)



師範と駆けつけた産屋敷邸。


私達を待ち受けていたのは、辛いという言葉では片付けられない、燃え盛る炎に包まれた現実と。



「……っ、無惨だ!! 鬼舞辻無惨だ!!」



人生を賭けて憎み続けた…………


鬼の始祖、だった。










皆で一斉にそれへと斬りかかった瞬間、文字通り、私達は落ちていった。


足元にあったはずの地面がぽっかりと口を開け、その先に在ったものは。



(城……？ にしても、広過ぎる)



いくつもの部屋、広く長い廊下。


幾重にも重ねて造られているらしい建物は、鬼達の根城なんだろう。

次から次へと湧くように、それは襲いかかってくる。


師範とは既にはぐれていた。



『風の呼吸・弍の型、爪々・科戸風!!』



斬撃を繰り出しては、また先を走るの繰り返しだ。


この城のどこかにきっと、無惨も居る。

早く誰かと合流を。



「うあああああ!!」


『っ……?!』



少し先から響いてきたのは、胸が潰れそうな程に悲痛な叫び。


迷わず飛び込んだ血なまぐさい部屋には、怒りに震え、荒い呼吸を繰り返すカナヲちゃんと。



「………いやあそれにしても今日は良い夜だなぁ………次から次に上等なご馳走がやってくる」



ほらまた1人、と私を品定めするかのような視線を向けてきた……………鬼。

その腕の中。



『……っ、しのぶ様!!』



すでに半身が鬼の身体に埋まっていたのは、蟲柱様だった。



それを認めた瞬間身体中の血が逆流し、沸騰したかのような感覚に陥る。

わなわなと震える手で、刀を強く握りしめた。



「………なるほど。 それが無惨様の言ってた痣、ってやつなのかな？」


『しのぶ様を放せ』


「残念だなぁ。もう吸収し始めちゃってるからさ………大丈夫、この後君達もちゃんと一緒に食べてあげ、」



怒りに任せて放った斬撃は、その鬼の左頬を引き裂く。

へえ、とそいつは面白そうに、垂れた血を手で拭って眺め。



「………この柱の娘よりよっぽど君の方が、楽しませてくれそうだねぇ。嬉しいよ」



その言葉に、文字通り全身が総毛立った。



……………お前が。

お前のような卑しい鬼ごときが。



『蟲柱様を、侮辱するんじゃねェ!!』



そうして私は、瞳に「上弦・弍」と刻まれたそいつへと、斬りかかっていった。



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