《後編》改）言えない師範と言わない継子【不死川実弥】

61 : 師範は粒あん派です（非公式） ページ22

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「オラオラァどうしたァ!! テメェはオレ達とは違うンじゃねェのかよォ!!」



…………あー、うん。

冨岡様のあのセリフ、実はめっちゃ根に持ってたんですね師範。


目で追うだけで疲れてくる技の応酬の合間、煽る師範とは対称的に、冨岡様はさして表情も変えず木刀を振る。



(うっっわ、木刀裂けた)



最後の一太刀は相打ちとなり、2人の木刀は形を失った。



「………よォし、じゃあ次は素手で○し合うかァ」


『師範、もはや伏せ字になっちゃってますから』



物騒が過ぎる。


とその時、私以外の声で「待った」がかかった。



『ああ、ここで1番登場しちゃダメな子来た』


「Aさん、何を呑気に！ ○し合ったらいけませんよ！ ちゃんと止めて下さい！」



声の主は、先日の大乱闘@風屋敷のせいで、師範との接近禁止令が出た＿＿＿＿



『いや炭子、さすがに本気じゃないから』



この竈門炭治郎、悪気はミリも無い。

何というかその…………四角四面に真面目なだけなのだ。



「おはぎの取り合いですか？ もしそうなら、俺が腹一杯になるまで作りますから」


『ん"っっふ、』



あっっぶね、吹き出すトコだった。


もはや天敵と言ってもいい炭子の仲裁(この子は多分しているつもりだ)に、師範の青筋が増えていくのがわかる。

痣が出そうな勢いだな。



「………不死川は………おはぎが好きなのか……」



アッ………

それ繰り返しちゃ駄目なヤツです、冨岡様……！



師範が怒り過ぎて言葉も発せなくなっているのは、あの炭子の脳内において、一体どう変換されているのだろうか。(遠い目)


曇りなき眼で粒あん派かこしあん派か尋ねている辺り、良い方に勘違いしてるに違いない。



『あ』



気がつけば炭子の身体は、空高く綺麗に飛んでいた。



「あンのクソガキィ……！」


「………それで不死川は、粒あんとこしあん、」


『だめだめだめ冨岡様、それ今聞くとこじゃないです』



弟弟子ぶっ飛ばされましたやん目の前で。

空気は読めなくてもいいけど、状況はちゃんと見ましょ？



「チィッ、胸糞悪ィ。帰ンぞA！」


『え、私まだ冨岡様に手合わせして頂いてな、………いだだだだ、はい喜んで！』



そうして私は、師範に首根っこを半ば掴まれるようにして。


滞在時間およそ30分ほどで、水屋敷を後にしたのだった。


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