番外編 2 : 破廉恥言うなや ページ46
・
『………』
「お久しぶりでございますねAさん。この前田まさお、貴女のために一針一針精魂込めて仕上げました新しい隊服をわざわざ自ら!ワタクシ自らお届けに上がりました!」
早口でほぼ一息に用件を告げてきたのは、鬼殺隊・縫製部門に属する前田さん。
通称・ゲスメガネ。(付けた人お上手と思う)
『あれ………私、石田さんにお願いしたかと』
「ええそれが石田は今めちゃくちゃに立て込んでおりましてね、代わりに一文字違いのこの私が」
『たかが一文字、されど一文字だと思います』
「ちょ、っと何おっしゃっているのかわかりませんね」
クイ、とメガネを指で上げ、前田さんはおもむろに、抱えていた包みを押しつけてくる。
「さあさあほら今この場ですぐさまご試着を」
『何言ってるのか全然わかりません』
誰が庭で公開生着替えなんかすんだよ。
とはいえメガネの奥の目は本気だ、ならばこちらも、最終兵器を出さねばなるまい。
ス、とひとつ息を吸って、声を張り上げる。
『師範、しはーん!! 縫製係の前田さんが私に、外で着替えろとか言ってきます助けてー!!』
次の瞬間、屋敷の内側から響いてきた重い足音に、前田さんの顔はみるみる青ざめた。
「なっ………今日不死川さんは留守のはずじゃ……!!」
『あー、任務が早めに終わったみたいで』
「チックショォォォォォ!! 騙しましたね!!」
クソが!! と捨てゼリフを吐いた前田さんは、柱ムーブもびっくりの速さで逃げていく。
あれ、前田さん呼吸使えるのかな。速え。
「テンメェ前田ァ!!」
『あ、たった今逃げられましたすみません』
怒号を上げながら現れた師範に、前田さんが去った方向を指せば、盛大な舌打ちが追加される。
そうして大きく息を吐いてから、師範は私へと視線を向けた。
「………何もされてねェだろうなァ」
『さすがに触られるとかはないですけど、とにかくしつこいんですよね』
前田さんの天敵=我が師範、もしくはしのぶ様というのは、女性隊士の間では常識である。
お呼び立てして申し訳ありませんでした、と下げた頭には、温かく大きな手。
気にするな、ということだろう。
「つかお前…………大丈夫なンか、それ」
『いやーまだ中身見てないんで、何とも』
それ、と師範が指した包みは、前田さんに押しつけられたシロモノ。
中身は新しい隊服のはずだ。
ただし………………
ゲスメガネ、作の。
・
309人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ひよ(プロフ) - あさひゆうひさん» コメあざっす!! うぶ黒さんは蜜璃ちゃんへの贈り物を欠かさないという見解。そして悩んで欲しい願望でした!! 実弥さんはね、胸より尻より脚だと思ってる!! お子様師範書いてて楽しかったけど、最終的には大人師範に全身愛でられたい欲。すみません黙ります(汗) (2022年7月20日 14時) (レス) id: a2712468ed (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - 京華さん» 番外編にまであざっす!! ええ、最終夢主ネコ変のオチ頂きました!!(確かキミが口走ってた記憶)フラグ番外編ですか?! いやもうネタが……ほんとに……己の引き出しの無さに枕を濡らす日々ですよ(泣) 読んでくれてありがとうございます♡ (2022年7月20日 14時) (レス) id: a2712468ed (このIDを非表示/違反報告)
あさひゆうひ(プロフ) - つい、番外編初めから読んじゃいました。うぶ黒さんにきゅん…。からの、実弥さんは脚フェチに見解一致。からの、「クショが」に新たな自分が芽生えたかと焦っておりましたら、「愛でさせろォ」にやっぱり大人の実弥さんが一番♡となりました。現場からは以上です。 (2022年7月18日 11時) (レス) @page50 id: 62b927337a (このIDを非表示/違反報告)
京華(プロフ) - 番外編おこちゃま師範ご馳走さまでしたァァ!最後は夢主ネコなってるし、笑 ほんわかなお話も…ほんとウルトラおぴよ☆様のお話好きだなぁ…番外編だけで新作立ち上げません?フラグ付けてもいいよ?付いてくし他の読者さんも歓喜すると思うよ?笑 お疲れ様でした♡ (2022年7月18日 10時) (レス) @page50 id: 9cf14e7eab (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - ルカさん» ルカさま、はじめまして!! コメントありがとうございます♡ 嬉しくて踊っております宜しければ後編も読んでやって下さい!! (2022年6月19日 22時) (レス) id: a2712468ed (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ