《前編》改）言えない師範と言わない継子【不死川実弥】

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side 不死川実弥


　



「さっきのは結局、何だったンだァ？」



伊黒とはそのまま別れ、また街を歩き出せば、隣で妙に機嫌の良いA。


こちとら事情が飲み込めねェままだわ、クソが。



『ふふ…………いや博識の伊黒様でも、ご存知ないことあるんだなって』


「………何教えてやったンだよ」



やはり面白くねェなどと思いながら問えば、Aは堪えきれない、というように笑い出した。



『師範はご存知です？ 男性が女性に、簪(かんざし)を贈る意味』


「簪(かんざし)ィ？」



贈り物は贈り物だろう、身に着ける類いというだけで。

繰り返したオレにまた笑ってから、Aは口を開く。



『遊郭での流行りが、広まったらしいんですけどね。「結婚して下さい」って意味になるそうですよ』


「……………そういうことかィ」



そらあの伊黒も赤面するわな、と納得して、つい漏らした笑い。

Aもつられるように、また笑い出す。



『さすがにまだ、ちょっと早いですよねー。求婚は』


「ふはっ…………確かになァ」



そうして2人で顔を見合わせ、ひとしきり笑ってから。



『師範も、覚えておいて下さいね』


「…………あァ？」



何を、と問い返す間も与えられず。



『あー、笑い過ぎて小腹が空きました！ 師範、次は甘味屋さん行きましょ！』


「お前の胃袋どうなってやがる」



ほら早く、とAに腕を引っ張られるまま、オレはまた笑って歩き出した。






…………………………そんな、とある昼下り。




終








Aさま、ひよでございます!!


この前編完結後にも、☆や♡をたくさん頂けました……!!
いつもいつも、本当にありがとうございます(号泣)



御礼と言ってはなんですが、、番外編など書いてみましたので、受け取ってやって下さい。(チョロいって言わんといて///)



引き続き、続編の準備も頑張ります♡
それではまた近い内に、続編のお知らせでお会い出来れば光栄です。


読んで下さって、ありがとうございました!!


6/18 ひよ

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