12 : 継子からのお誘い? ページ13
side 不死川実弥
宇髄の訪問から数日後、夜間警備から屋敷に戻ったのは、もちろん早朝。
同じく任務へ出ているAの姿はまだなく、先に湯浴みを済ませる。
頭を拭きながら出てくればちょうど視線の先、玄関の戸を開けたのは元気そうな弟子だった。
『師範、お帰りなさいませ。お早かったですね、ご無事で何よりです』
「お前もな。ケガねェか?」
『大丈夫です。すぐ朝餉を』
「ンな急がンでいい。お前も湯浴みしてこいや、あちこちドロドロだわ」
『あはは………確かに。これでお食事作るのも何ですね。ではお言葉に甘えて』
ゆっくり入ってこいと頭を撫でてやれば、嬉しそうに笑うA。
その笑顔を見りゃ、こっちまで…………なんだか。
(………あったけェ、っつうか)
オレのそんな想いなど露ほども想像していないであろうAは、風呂場へと軽やかに駆けていく。
Aが出てくるまで刀の手入れでもしようと、陽が差し込み始めた縁側に腰を下ろした。
静かな庭は一見、平和な風景。
(鬼なんてモンが居なけりゃ、オレもアイツも………違う生き方があったかもしンねェな)
仕様もないことをつらつらと考えていれば、しはーん、と呼ぶ声。
仕事早ェなと苦笑して、居間へと向かう。
「美味ェ………お前に料理の才があるとはなァ」
甘い卵焼きを頬張りながらそんな言い方をしたオレに、解せぬ、とAは眉を寄せる。
思わず小さく笑えば、Aもつられたように笑った。
笑顔など忘れがちな日々でも、Aと一緒に居ると、こんな瞬間がある。
それはそうと師範、とAが口を開いた。
『例の宇髄様との任務、明日からという連絡が入りまして』
「おォ……ンじゃ今日の稽古は、軽めにしてやらァ」
『え、急に優しさ出されると怖い………いえ、それはありがたいんですけど………あの………実は他にお願いが……』
普段きっぱりさっぱりのAにしては珍しい様子を怪訝に思い、眉をひそめる。
「ンだよ気持ち悪ィ」
『いや、ちょっと言い辛いことなんですよね……』
その俯き気味の顔は、何やら赤くも見えた。
とっとと言えと促せば、数秒の間の後、Aは思いきったように顔を上げ。
『師範…………私と添い寝、して頂けませんか?』
……………………………はァ?
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ひよ(プロフ) - あさひゆうひさん» コメあざっす!! うぶ黒さんは蜜璃ちゃんへの贈り物を欠かさないという見解。そして悩んで欲しい願望でした!! 実弥さんはね、胸より尻より脚だと思ってる!! お子様師範書いてて楽しかったけど、最終的には大人師範に全身愛でられたい欲。すみません黙ります(汗) (2022年7月20日 14時) (レス) id: a2712468ed (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - 京華さん» 番外編にまであざっす!! ええ、最終夢主ネコ変のオチ頂きました!!(確かキミが口走ってた記憶)フラグ番外編ですか?! いやもうネタが……ほんとに……己の引き出しの無さに枕を濡らす日々ですよ(泣) 読んでくれてありがとうございます♡ (2022年7月20日 14時) (レス) id: a2712468ed (このIDを非表示/違反報告)
あさひゆうひ(プロフ) - つい、番外編初めから読んじゃいました。うぶ黒さんにきゅん…。からの、実弥さんは脚フェチに見解一致。からの、「クショが」に新たな自分が芽生えたかと焦っておりましたら、「愛でさせろォ」にやっぱり大人の実弥さんが一番♡となりました。現場からは以上です。 (2022年7月18日 11時) (レス) @page50 id: 62b927337a (このIDを非表示/違反報告)
京華(プロフ) - 番外編おこちゃま師範ご馳走さまでしたァァ!最後は夢主ネコなってるし、笑 ほんわかなお話も…ほんとウルトラおぴよ☆様のお話好きだなぁ…番外編だけで新作立ち上げません?フラグ付けてもいいよ?付いてくし他の読者さんも歓喜すると思うよ?笑 お疲れ様でした♡ (2022年7月18日 10時) (レス) @page50 id: 9cf14e7eab (このIDを非表示/違反報告)
ひよ(プロフ) - ルカさん» ルカさま、はじめまして!! コメントありがとうございます♡ 嬉しくて踊っております宜しければ後編も読んでやって下さい!! (2022年6月19日 22時) (レス) id: a2712468ed (このIDを非表示/違反報告)
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