それは恋だったと【不死川実弥】

6 : 期待なんかしない ページ7

・





そうして散々からかわれながらも、何とか女子バスケ部への仮入部を申し込んだ。


やはり大人っぽい、綺麗な先輩達に「宇髄がごめんね」と何故か謝られ、恐縮しながらその場を後にしようとすれば。



「またなー、A。ちゃんとお勉強しろよー」



ヒラヒラと手を振る様さえ絵になっていて、ついまた、見惚れそうになった自分を叱咤して。


『失礼します』と頭を下げ、しのぶの元へと駆け出したのだった。












「大丈夫でしたか?」


『ごめんね、しのぶ。待たせちゃって』



頭を下げて謝った私にしのぶは、構いませんと笑う。



「いえ私より…………Aは?」


『え? あ、私?』


「宇髄さん達に、何か言われていたようですので」



しのぶの口から、すぐにその名が出てきたということは、宇髄先輩も内部生なんだろう。



「中等部の頃から、目立つ先輩ですよ。あの見た目ですし、お話もお上手と聞きます」



肩を竦めてみせるしのぶ的には、さして思い入れのある相手ではないらしい。


そのことに何故かほっとしながら、だろうね、と同意した。



『何かいきなりで、よくわかんないんだけど………宇髄先輩に、妹だとか言われて……』



妹? と大きな瞳を見開いて繰り返した後、しのぶは吹き出す。



「Aにはお兄さんも居らしたんですか。お姉さんのお話は、聞いた記憶がありますけど」


『うーん………知らない内に増えてたみたい』


「ふふふ………宇髄さんのようなお兄さんでは、色々と大変そうです」


『…………からかわれただけなのは、わかってるんだけどさ』



変な期待は、しないようにと。

自分に言い聞かせながら、もう一度そちらへと視線を戻せば。



" 宇髄天元 " 先輩は、まるで私が呼んだようなタイミングで振り返った。


そうして華やかな笑顔なんかをよこすから。





私の心臓は、ドクンと跳ね上がったのだった。



・

7 : まさかの発症→←5 : 一瞬で恋に落ちる

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す