それは恋だったと【不死川実弥】

27 : 姉の見解 ページ28

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11月、点火祭(てんかさい)で目にした事実。


冬休みに入り、年末になっても私はまだ、それを上手く消化できないでいた。



名付けられない感情に振り回され、溜息をつくばかりで。

だからといって宇髄先輩に真実を聞くことも、一方通行なこの想いを、潔く捨てることもせずに。



(……どうしたいんだろ、私)



部活の練習もない年末、自分のベッドの上で、溜息は増えるばかりだ。



「………A、居る?」



ドアを控えめに打ったノック。

落ち着いた声音に、跳ね上がるように起き上がった。



『お姉ちゃん、おかえり!』



ただいま、と微笑みながら部屋へと入ってきたのは、7つ上の姉。


歳の離れたこの姉には小さい頃から可愛がられており、今でも何かあると、親より先に相談してしまう。


春先、就職のために姉が家を出た時は、本気で泣きかけたものだ。



「元気にしてた? 中々帰れなくてごめんね」


『ホントだよ、淋しかった』



唇を尖らせた私に、姉はふふふ、と小さく笑う。


その表情や仕草はやっぱりオトナで、あの日、宇髄先輩の隣にいた女性(ひと)を彷彿とさせた。



「お母さん心配してたよ。最近、Aが元気ないみたいって」


『………わかりやすいのかなあ、私』


まあ家族だからね、と頷きながら、姉は私の隣に腰をかける。



「何かあった? 話したくなければいいけど」



姉の中では、私はきっとまだ小さな子供なんだろう。

頭を撫でられ、思わず苦笑した。



それでもこの気持ちを整理したくて、誰かに聞いて、何か言って欲しくて。


結局は時間を掛け、姉相手にその全てを話した。














黙ったまま一通り聞いてくれた後、姉はうーん、と腕を組んでみせる。



「………失恋、とまではまだ………言えないのかなあ」



その感想を聞いて、私はようやく。


自分があの日以来ずっとモヤモヤしている理由に、行き着いたのだった。



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