甘やかな唇【不死川実弥】【冨岡義勇】

ー４ ページ22

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「ココかァ……?」


「……っ、ん……そこ……」



何だかヤらしいな、と自分でも思うけど、つい漏れてしまう声。



「Aさんマジ凝ってんなァ。ゴリゴリいって
　ら」


「うぁっ……マッサージまで上手いとか……!」



神過ぎるだろ。






洗い物もきっちり終えてくれた実弥がシャワーを浴びて、後は寝るだけ、ってゆったりとしたひと時。


出来過ぎな彼氏に肩まで揉ませて、私いつか罰当たるんじゃないだろうか。

え、就活全滅は困るな。



「……ん、もう大丈夫だよ。ありがと」


「遠慮してンなや今更」


ぐ、と絶妙な力加減でツボを捉えられては、引き下がるタイミングを見失う。


「頭も固ェなァ」


「凝ってると言ってくれ、軽くディスられてる気分
　になる」


肩の次は頭、と大きな手は移動し、つぼセンサーでも付いてんのか、と確認しそうになるほどの気持ち良さに包まれていた。


目を閉じてそれを堪能していれば、どうしても抗えなくなるのが。


「やば……眠くなってきた…」


食欲が満たされ、凝り固まった身体が緩んだら仕方ないと思う。

人間の三大欲求の一つだしね、睡眠。




正直オチかけていた、その時。


「……っ……?!」


緩むような心地良さとは真逆の、チリリとした小さな痛みに意識は引き戻された。


「……寝ようとしてンじゃねェってのォ」


「……んぁっ…」


項へと与えられたその刺激がまだ残るところへ、今度は右耳を這ってくる熱い。


「……ちょ、……そんなトコ舐めないでよっ…」


「一人で勝手にオチかけンのがワリィ」


熱をはらんだ舌や唇で遊びながら、多分わざと、耳元で発せられた低い声。


「とことん甘やかしてやる、つっただろォ?」


「……もう十分、甘やかされたと思うんだけど」


「まだまだァ」


「……っ…」


カプ、と耳朶を食まれれば、恥ずかしいのに、自然と息は上がっていく。


「……Aさん、こっち向いて」


私を呼ぶその声にも、同じように余裕がなくなっているのがわかった。


「……ん、」


最初は触れるだけ、数回繰り返したら舌でされる合図に、唇を薄く開く。


「………はっ…」


息苦しささえ気持ち良いのは、何でだろう。


繋いだ銀糸をペロリと舐めとってみせる彼を、ぼんやりと眺めていると。


「……まあでも、Aさん相手なら」


期間限定でヨメやってやってもいいぜェ、という囁きに吹き出してから、その首元へとかじり付いたのだった。


終
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６ : ☆「不器用」（冨岡義勇）→←ー３

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