離さない＿DH ページ33
2008年
夜。仕事から帰って来て向かうのはAとトゥギヒョンの部屋。
トゥギヒョンの部屋はいつも綺麗で整頓されている。Aも自分のスペースをいつも綺麗にしていて、たまに勉強のテキストとか本が重なってるけど直ぐに整頓されてる。
俺はAが寝てる布団に潜り込んだ。
一人で寝るより誰かと一緒に寝れば寂しくないからね！
初めてAが宿舎に来た時も、寝てしまったAの布団に潜り込んだら次の日の朝はAの悲鳴で目が覚めたっけㅋㅋㅋ
でも今では慣れているもので、俺が勝手に布団に入っても全く動じなくなった。
トゥギヒョンはいつもそんな俺を見ると「部屋に戻りなさい」って言ってくるんだけど、聞かないから最近は諦めてる。
A「…」
Aの静かな音が聞こえる。
部屋の窓から差し込んだ月の光でAの顔が見えた。儚くて、消えそうで、この世の人とは思えないほど綺麗だと思った。
でも、すやすやと眠っているAの頬に涙のアトがあることを俺は見逃さなかった。
「泣いてたの…？」
俺の問いかけにAが答えるはずもなくて、やっぱりすやすや眠ってる。
俺はAの頬に手をそっと添えた。
「一人で泣いてた？」
Aはいつもひとりで抱え込む。辛いこと悲しいことは全部一人で抱えて、誰にも見せないでいようとする。
辛いことがあった時、Aはいつも笑う。笑顔の仮面に隠れるように全部を隠そうとしてることに俺は気づいてる。
「何があったの？」
俺が知らないところで、どんな辛い思いをした？
俺の見えないところで、どんな苦しい思いをした？
俺に教えて。きっと助けるから、絶対Aを悲しませるものから守るから、、
俺はAを抱きしめて首元に顔を埋めた。
Aの甘い匂いがする。香水をつけてる訳でも無いのに甘い匂いがして、でも甘ったるく無くて、”Aの匂い”。
抱きしめるAの体は女の子みたいに華奢で折れてしまいそうで、ヒョクなんかよりもずっとずっと細くてか弱くて、俺は優しくぎゅっと抱きしめた。
時々、Aは本当は天使なんじゃないかって思うことがある。どんな事があってもいつも笑顔で、黒目がちな瞳はいつも綺麗で、、、
だから、天使にはこの世界は暗すぎるのかもって、いつかAは知らない内に消えてしまうんじゃないかって怖い。
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作者名：りんご | 作成日時：2023年10月9日 17時
