僕のいる場所 8

強い ページ9

岡田side









10代の頃からこの世界にいて、何もキレイなものばかりを見てきたわけじゃない。


大人の汚い面をたくさん見てきた。


それでも俺達が、少年の心を持ち続けているのは俺達は偶像(アイドル)だからだ









Aだって、そうだ。

子供っぽいとか、甘えん坊だとか言われるけどそれなりに大人に揉まれてきた人だ。




それでもAが偶像(アイドル)でいるのは


それに、「命を懸けてる」から。





冗談に思うかもしれないけど、本気だ。





Aは、グループを組んでデビューするってなった時から偶像(アイドル)でいることに命を懸けてる。


性別を偽ってこの仕事をしていることは、それなりの覚悟がいる。



まだ、子供だった頃に決めたこの道はAの人生を大きく変えることになる。

でも、Aは途中で投げ打ったりなんかしなかった。


いつでも俺達と対等な偶像(アイドル)でいた。









_________回想_________









俺とAは同い年のこともあって一緒に過ごす時間は必然的に長くなった。


同い年なこと、過ごす時間が長かったこともあってか俺達は本音で語ることが他のメンバーよりもあった気がする。





高校生の頃、Aと将来について話したことがあった。


俺は20歳になったら大学に行って教師になろうと思ってたから、そんな話をしたような気がする。



自分が何を話したかはあんまり覚えてないけど、Aの言葉だけはちゃんと覚えてるんだ。









姫「僕は、自分が選んだこの道が正しかったのかずっと分からない。…多分、この先死ぬまで分からないんだと思う。」









その時のAの表情もちゃんと俺は覚えてる。

少し悲しそうな、寂しそうな顔をしていた。









姫「6人と出会えて、本当に私は幸せ者だと思ってる。ほんとだよ？…でも、たまに考えるんだよね。
もし、あの時事故にあってなかったら？ 両親が生きてたら？…普通の女の子として生きれてたんじゃないかな？って。
普通に恋をして、結婚して、子供が出来て、誰かのお母さんになって…。
そんな生活が出来たんじゃないかって。」









どこか遠くを見つめるような表情で、Aは言っていた。

俺はなにも言うことが出来ずに黙り込んだままだった。









姫「でも、過去はどうしようもない。変えることなんてできないから…」

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