story:157 ページ11
・
「まだ一度も成功していない試験機ですが…それでも乗りたい人！」
殺せんせーのその言葉で、一人を除いて手を挙げていた生徒が手を下げた。
手を挙げていたのは、イトナだ。
「それでも俺は乗りたい。ロケットなんてメカ好きにとっちゃ垂涎ものだ。けど、今回だけ譲ってやる」
イトナはそう言って、二人を指名した。
「渚、カルマ。お前ら乗れ」
カルマ君は反対こそしたが、渚のお願いで彼等が行くことに決定した。
*****
一度解散した私たちは、夜明けにまた集まった。
「…大丈夫かな」
「設計図も機体も隅から隅までチェックしたし、律さんの力で管制室も完全に欺けている。間違いありませんよ」
カウントダウンがどんどん進んでいく。
５、４、３、２、１＿＿＿＿
ふたりとも、いってらっしゃい
渚とカルマ君を乗せたロケットは、マッハ23というスピードで宇宙へと飛んでいった
*****
あれから約1週間が過ぎた。
今日は実験結果とともに二人が帰ってくる日だ。
「おッ、帰ってきた、帰ってきた！」
仲間の到着の無事を私たちは盛大に喜んだ。
律の本体に結果を映し出すも、専門用語ばかりで一般人には理解不能だった。
しかし＿＿＿
「奥田!！お前ならできるだろ？俺らにコレを分かりやすく説明すること」
「あっ…任せてください！！」
このクラスには理科のエキスパートがいる。
愛美の要約によると、ある薬品を定期的に投入することで爆発の危険性は1%以下になるという。しかも、その薬品というのが、前に愛美が作ったものとほとんど同じときた。
殺せんせーは、殺せなくてもいい。
その事実に皆が喜んだ。
「…じゃあ皆。暗殺は...1学期から続けてきた暗殺は…今日限りで終わらせていいんだな？」
大喜びの空気の中、磯貝君が言いづらそうに言った。
烏間先生は殺せんせーが国にとっては危険生物であることに変わりないと告げた。
「...どーしてぇんだ言い出しっぺは？」
寺坂が渚に答えを求める。
「…カルマや中村さん、千葉君や速水さんや殺す派だった皆。トンネルを抜けた今だからこそ全員の気持ちを大切にしたい」
全員が納得する結論だった。
国からの依頼が消えない限り、3月まで全力で暗殺を続ける。
なぜなら暗殺は＿＿＿
私たちの使命であり、絆であり、私たちを出会わせ、育ててくれたE組の必修科目だから
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 663人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「赤羽業」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みゅー - 番外編がものすごく楽しみで仕方ないです！この作品は心に響きました。気づけば目から涙がひとつ、ふたつとポロポロ流れ落ちていました。それくらい、この物語に引き込まれていたんだと感じます。このような素敵な作品をありがとうございました！ (2020年5月13日 20時) (
レス) id: 5f57d7ba9d (このIDを非表示/違反報告)
紅楓(プロフ) - 涙腺がああああああ！はい、凄いですね。続編、待っております！ (2020年5月9日 13時) (レス) id: 082dab1426 (このIDを非表示/違反報告)
レイ - 完結おめでとうございます！みんなの性格を言っていって、思い出を振り返るところ泣きました…。面白かったです。 (2020年4月18日 19時) (レス) id: 99b0958fb1 (このIDを非表示/違反報告)
神崎葵。(プロフ) - 泣きました。完結おめでとうございます。しばらく泣きます。 (2020年4月10日 19時) (レス) id: 5d39630b57 (このIDを非表示/違反報告)
うりよ - ガチめに泣きました。完結おめでとうございます。他の皆さんのように、番外編が見たいです。 (2020年4月3日 15時) (レス) id: 21c35aca73 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：桜桃 | 作成日時：2019年12月28日 9時
