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私に触れた温もりは、その女は、敵でも障害でもなかった。全てを見ていると感じていた私には、私を見ていたあぐりの存在が、見えていなかった。
触手地雷に貫かれた彼女は致命傷だった。医学を極めた私でも治せないような。
「なぜ…飛び出さなければ私の巻き添えにならなかったのに」
「…ドジこきました。まさかあんな罠がびゅるってくるとは…だけど…声かけた位じゃあなたは止まってくれない気がして」
その通りだった。
あのまま外界へ出ていけば…歪んだ触手が感情を歪め、どす黒い姿の破壊生物として安定してしまうところだった。
呼び戻してくれたのは…
彼女の感触だったのだから
あと0.1秒早く気付けば守れたのに…
精密な触手を医療に使う訓練をしていれば
救えたのに!!
私はその時ようやく気付いた。
身につけた力の使い道はもっと他にあった事を
どうして…気付く時間はたっぷりあったのに!!
殺す力を、壊す力を、どうして誰かのために使わなかった!! どうして…どうして!!
「私が殺したも同然だ」
「そんなわけ…ないじゃないですか。私が…そうしたいから、そう動いただけですよ」
あぐりはクス、と笑ってそう言った。
「それに…ね。あなたになら…私はたとえ殺されても良いと思う。そのぐらいあなたを大切に思えるから。きっとあなたも…そんな相手に巡り合えますよ」
「君になら殺されても悔いは無い。だが君以外にそんな相手がいるとは思えない」
私も、あぐりが大切だった。
こんなことになってから、気付くとは馬鹿なものだ
私にもまだ人間の血が残っていたのだな。
「…もし…残された1年間、あなたの時間をくれるなら…あの子達を教えてあげて。あなたと同じように…あの子達も闇の中をさ迷ってる。真っ直ぐに見てあげれば…きっと答えは見つかるから」
「君がそう言うのなら」
「……なんて…素敵な触手…!!…この手なら…きっとあなたは…素敵な、教師に」
そこで、彼女の意識は途絶えた。
前任教師の懐には…誕生日プレゼント。どういう場面で着用するのかまるで不明な巨大ネクタイ。
「…ダサい」
そんな欠点も彼女の
残りの時間を…教師であることに使おう。
あなたが見続けてきた生徒を私の目で見続けよう
どんな時でもこの触手を離さない。
私は彼女にそう誓った。
私は書き置きを残してその場を去った。
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みゅー - 番外編がものすごく楽しみで仕方ないです！この作品は心に響きました。気づけば目から涙がひとつ、ふたつとポロポロ流れ落ちていました。それくらい、この物語に引き込まれていたんだと感じます。このような素敵な作品をありがとうございました！ (2020年5月13日 20時) (
レス) id: 5f57d7ba9d (このIDを非表示/違反報告)
紅楓(プロフ) - 涙腺がああああああ！はい、凄いですね。続編、待っております！ (2020年5月9日 13時) (レス) id: 082dab1426 (このIDを非表示/違反報告)
レイ - 完結おめでとうございます！みんなの性格を言っていって、思い出を振り返るところ泣きました…。面白かったです。 (2020年4月18日 19時) (レス) id: 99b0958fb1 (このIDを非表示/違反報告)
神崎葵。(プロフ) - 泣きました。完結おめでとうございます。しばらく泣きます。 (2020年4月10日 19時) (レス) id: 5d39630b57 (このIDを非表示/違反報告)
うりよ - ガチめに泣きました。完結おめでとうございます。他の皆さんのように、番外編が見たいです。 (2020年4月3日 15時) (レス) id: 21c35aca73 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜桃 | 作成日時：2019年12月28日 9時
