10話 ページ10
澤部side
澤部
「な、何やってるの…!!」
慌ててドアを開けようとしたが
何かが引っかかってビクともしなかった。
外からは鈍い音や花瓶の割れる音が聞こえる。
Aさんがあの男に傷つけられて
いるかもしれない…
…最悪の場合、命を───…
あぁ…ダメだ、考えたくない…
なにも出来ない自分が情けなくて涙がこぼれた。
私はどれだけあの子の人生の邪魔をすれば
気が済むんだろう。
澤部
「ごめんなさい…Aさんッ…」
『疲れたー…』
澤部
「…え」
『え?』
下を向いているとAさんの声が聞こえた。
最初は幻聴かと思ったけど地面に
もう一つの影が見える。
顔を上げるとドアから少し顔を覗かせた
Aさんがいた。
澤部
「ぁ、え…?Aさん…?」
驚きで舌が上手く回らなかった。
『…泣いてたの?』
Aさんは唖然としている私と
目線を合わせてくれた。
優しい声に何かが吹っ切れた気がする。
その場で私は子供のように声を荒らげて
泣き出してしまった。
…多分、安心したからだと思う。
───
その後1階の電話で警察に連絡し、
私の親が仕事を中断して帰ってきてくれた。
母
「無事で良かったッ…」
父
「怪我は無いかい…?」
澤部
「…ううん、Aさんがいたから
大丈夫だったよ…」
警察が来た時、マスクを外した空き巣の男が
連行されて行くのが見えた。
頬が青黒く染まっていて頭からは
血が垂れている。
あの時はパニックになっていたから気付かな
かったけど、Aさんも頭を怪我していた
らしく今向こうの救急車で治療してもらっている。
聞いた話によるとAさんは
空き巣の男と1体1で戦ったらしい。
両親の元にいると頭に包帯を巻いた
Aさんがこちらに駆け寄ってきた。
澤部
「Aさん…!病院に行かなくていいの…?」
『軽くカスって血が出ただけだから大丈夫だよ』
澤部
「良かった…大怪我じゃないのね…」
母
「貴方がAさん…?
今日は本当にありがとうね…」
父
「君は娘の命の恩人だ、今度改めて
お礼させてほしい…」
『命の恩人だなんて…
私には勿体ないお言葉です…』
今の顔は…照れてる顔かしら。
Aさんってあまり表に感情を出さない
イメージがあったけど結構表情豊かなのね…
『…ぁ、そうだ…澤部さん、話したいこと
あるんだけどちょっといいかな…?』
話したいこと…?もしかして…
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咲夜(さくや)(プロフ) - 続き楽しみにしています。 (10月3日 8時) (レス) id: f2b60f62ba (このIDを非表示/違反報告)
アリス(プロフ) - コメント失礼します!ド変態×ド変態に投票しますね。 (2022年12月18日 20時) (レス) @page13 id: dd28e92a60 (このIDを非表示/違反報告)
あぽろ(プロフ) - 行き過ぎたヤンデレ好きだけど苦手という意味わからない感性の持ち主なのでこのヤンデレになりきれてないこの感じがとても大好きです!!澤部さんいいな… (2022年12月14日 23時) (レス) @page11 id: ebcad6c5f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柴田 | 作成日時:2022年11月29日 1時