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6話 ページ6

澤部
「…Aさん、ちょっと
お時間いいかしら…?」


5限目の授業が終わってすぐ澤部さんに
話しかけられた。随分顔色が悪い。


『…場所変えよっか』


…悩み事の相談かな、それなら教室で
しない方がいいよね。


澤部
「ぁ、ありがとう…」


その後空き教室に入った。入口の近くには
マイネームで落書きされた机が置いてある。

一週間ほど前まで私が使っていた机だ。


結局誰がホワイトボードと勘違いして
落書きしたかは分かっていない。

まぁ今は他の机使ってるから別にいいけど。


澤部
「…あのね、Aさん…じ、実は…」

『…うん、ゆっくりでいいよ』


大丈夫かな、顔色も悪いし声も震えてるけど…

きっと勇気を振り絞ってくれたんだよね。
しっかり聞いてあげなきゃ。


澤部
「私が…貴方を───…」



”バンッ…!!!”



澤部さんが震えながらも絞り出した言葉は
大きな音によって掻き消された。


澤部
「…れ、玲王くん…?どうしてここに…」


ドアを勢いよく開けたのは御影くんだった。

心做しか怒っているように見える。
いや、確実に怒ってる。


『…ごめん御影くん、今大切な話してるから
用なら後にしてくれないかな』


玲王
「…こっちだって大切な用あるんだよ」


…こんなに怒ってる御影くん初めて見た。

大切な用か…行きたい気持ちは山々だけど
今は勇気を出してくれた澤部さんを優先したい。


『先に澤部さんの話を聞きたいの、
今すぐじゃ無いと駄目?』

澤部
「ぁ、えっと…Aさん、私はいいから…」


玲王
「…本人がそう言ってんだから良いだろ」

『…分かったよ、澤部さん…ごめんね、
また今度話聞くから…』


澤部さんに謝ると急に体が引っ張られた。
いきなりだったので転けそうになる。


『…そんなに引っ張らなくてもちゃんと行くよ』


握られた手首が痛んだ。
結構な力で掴まれているらしい。

なんでこんなに怒ってるんだろ…


私は御影くんの歩幅に付いていくのに
精一杯だった。


『…ねぇ、大切な用ってどうしたの?』

沈黙に耐えきれず聞いてみたが返答は無い。


すると急に立ち止まるので軽く背中に
ぶつかってしまった。


『痛っ…急に立ち止まらないでよ…』

鼻を押さえながら顔を上げると
”男子トイレ”と書かれた看板が目に止まった。


『…え』

御影くんの足はそっちに進んでいく。


『ま、待って…!そこ男子トイレだから…!』

玲王
「誰もいねぇよ」


そういう問題じゃない…!

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咲夜(さくや)(プロフ) - 続き楽しみにしています。 (10月3日 8時) (レス) id: f2b60f62ba (このIDを非表示/違反報告)
アリス(プロフ) - コメント失礼します!ド変態×ド変態に投票しますね。 (2022年12月18日 20時) (レス) @page13 id: dd28e92a60 (このIDを非表示/違反報告)
あぽろ(プロフ) - 行き過ぎたヤンデレ好きだけど苦手という意味わからない感性の持ち主なのでこのヤンデレになりきれてないこの感じがとても大好きです!!澤部さんいいな… (2022年12月14日 23時) (レス) @page11 id: ebcad6c5f5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:柴田 | 作成日時:2022年11月29日 1時

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