思春期男子と超能力者２【梶蓮】 (ページ13)

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５９話ページ13

俺が２人のことを
考えず、薄っぺらな正義を
振りかざしたせいで…

…こんなことになっている

壱馬
「(僕があんなこと…言わなかったら、
崩落に巻き込まれることも…無かったのに…)」

俺は酷く絶望した

…でも、罪悪感で途方に暮れている俺を
姉さんは見捨てなかった

『…ｯ、壱馬…』

壱馬
「ごめん…なさい、ごめんなさいｯ…」

姉さんは謝り続ける俺の頬を殴った

言っとくけど、平手打ちじゃなくて拳な

『…うるさい、さっさと行って…』

頬の痛みでまた泣きそうになった

…でも、もうこれ以上姉さんに迷惑は
かけたくなくなくて…

俺は必死に顔を縦に振った

それを見た姉さんは少しだけ笑ってくれた

壱馬
「…Aちゃんは、どうするの…？」

『…私は、これの…後片付けをしたら行く』

壱馬
「…分かった」

そして俺は姉さんに背を向けてビルの下から出た

外はさっきより地獄と化していた

血の匂いがそこら中からしてくる

でもそんな事に怖がっている暇は無い

俺は周辺をとにかく走った

でも子供は見付からない

少し強気になっていた心もどんどん弱ってきた

”このまま八重が見つからなかったら
どうしよう”…って

「おい坊主…！さっさと逃げるぞ…！！」

壱馬
「で、でも…！友達の弟がまだ…！！」

「周りをよく見ろ…！こんな事になってんだから
子供１人で生きてるわけねぇだろ…！！」

するとおじさんは俺を担いで走り出した

壱馬
「ま、待ってよ…！！」

「…俺にも、お前くらいの息子がいた…
見捨てて逃げるわけには行かねぇｯ…」

俺はそれを聞いて返す言葉で出てこなかった

”無能”

誰だってこんな俺を見ればそう言うだろう

おじさんに担がれている間も、
俺は周りから目を離さなかった

八重が見つかるかも…って、
ほんの少しの希望でも…しがみつきたかったんだ

…でも、現実はそう甘くないらしい

結局避難所まで子供１人見かけなかった

避難所の中を探し回ったが八重はいない

…それに、姉さんの姿も無かった

息が詰まる

呼吸が上手く出来ない

俺は避難所の端っこで過呼吸になった

そんな俺を誰かが抱きしめた

母親
「壱馬…！」

父親
「良かった…！無事だったんだな…！」

…俺の親だった