思春期男子と超能力者２【梶蓮】 (ページ12)

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５８話ページ12

目を開けると目の前に
赤い水溜まりが出来ていた

匂いで血だと分かった

でも、俺のじゃない

俺は驚いて横たわっていた体を起こそうと
したけど、何かが遮ってきたんだ

地面から１mくらいの高さに
天井のようなものが出来ていた

壱馬
「なに…これ…」

よく見れば窓がある

これがビルだと気が付くのに
そう時間はかからなかった

周りからは驚きの声が上がってる

「た、助かった…のか…？」(別言語)

「とにかくこの下から抜け出すぞ…！」(別言語)

恐らく俺と一緒でビルの崩落に巻き込まれた人達だ

「…なんか、これ…浮いてないか…？
こんな角度で崩落が止まることって…」

「浮くとか寝ぼけてんじゃねぇぞ…！
現実見ろバカ…！さっさと立て…！！」

壱馬
「(…あの人の言ってる通り、現実味無いけど…
確かにこのビル…”浮いてる”…)」

何かに支えられているわけでもない

正真正銘、空中に浮いてたんだ

そこでハッとした

俺の近くにいた姉さんがどうなったのか

壱馬
「(…大丈夫、きっと無事だ…
この近くにいるはず…)」

何となく嫌な予感がしてたけど、
俺は考えないようにしていた

…でも、現実はそう甘くない

ふとさっきの血の水溜まりに目を向けると
その先に誰かが倒れていた

それを見た瞬間、俺は体が震えた

壱馬
「A…ちゃん…」

そこにいたのは血だらけの姉さんだった

壱馬
「な、なんで…！瓦礫に当たったの…！？
こんなに血がｯ…！」

よく見るとその血は全部姉さんの
鼻と口から流れ出ていた

壱馬
「(僕は…どうすればいい…？
大人を呼びに行く…？でもその間に…
Aちゃんに何かあったらｯ…)」

…俺はこういう状況に弱かった

焦ると冷静な判断が出来なくなる

結局、何も出来ずその場で泣きながら震えていると
目の前の姉さんが微かに動いた

壱馬
「…！Aちゃん…！！」

上手く喋れないのか、掠れた声で何かを言っていた

『…ゃ、えを…』

壱馬
「…ぇ…？」

『…”八重(やえ)”を…連れて、逃げて…』

…八重は姉さんの”弟”だった

俺とは違う、ちゃんと血の繋がった弟

あの時…

「姉さん、置いてかないで」

…っと、叫んだのも八重だ

今、姉さんと八重は離れ離れになっている

そこで俺は気が付いた

壱馬
「(…ぁ、これ…全部、僕のせいだ…)」