ノアの花嫁 ２

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『っ！』


顔を上げたAと初めて目があった



「今はもう、好きじゃねえか」



『、、、わからない…わからないの』



泣きそうな顔をされてしまう


「嫌なら抵抗しろ」


『えっ』


腕を引いて抱きしめた


いなくなりそうなこいつを俺の腕の中に閉じ込めた



『な、んで』

「泣きそうだったから」


『なんで抱きしめるの…』


「好きな女だから」


『こんなことされても、好きにならないよ…』


そんなことを言いながら

俺の背中に手を回してぎゅっと俺の服を握る


「抵抗、しねえんだな」


『…してほしい？』


「ふっ、大人しくしてろ」


『…』


黙りながら俺に抱きしめられる



「好きにならない、ねぇ」


『…うん、なれない』


「お前は変に頑固だからな、もう変わらねえんだろ」


『うん…』


「わかった、


　ならせめて、ここにいろよ」


『…なんのこと』



「お前は、ノアだからって言ってここを出てくつもりだろ


　みんなを傷つけたくないって





　万が一、お前の意識がノアに持ってかれても俺が止める


　だから、お前の意思でここを出て行こうとするなよ」



『…なんで、わかるの』



「何年一緒にいると思いやがる」


『ほんと、神田くんは優しいね」



スリ…と甘えるように抱きつかれてしまえば


俺も我慢することはできない



「…かわいい」


『へっ？』


「かわいいな、A」


『そ、そんなこと言う人じゃないでしょ！』



驚いたように顔を上げて俺を見る


その顔は真っ赤になって


飄々として掴めないAを暴いたようで気分がいい



「はははっ、責められると弱いんだな」


『も、もう…！からかわないでよ神田くん』


「A、」


『な、なに？』


「お前ともっと近くなりたい」


『ちかく？いまも相当近いと思うけど』


「そうじゃねえ


　なぁ、俺を名前で呼べよ」


『神田くんは神田くん…教団であなたを名前で呼んでる人なんていないじゃない』


「あぁ、他の奴らはな


　Aには、呼ばれてぇ」


『、、、ゆうくん』


「あぁ、」


『これで、いい？』


「もう一回」


『ゆうくん、』


「もっと」


『ゆうくん』


ゆっくりと顔を近づければ

俺の名前を呼びながらゆっくりと目を閉じていくA


嫌がらねえのか


そこまで許してくれているのか


「まだ、もっと、」


『ゆ、、、くん』

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