ワイルドスピード (ページ7)

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車を降りて自然に街の中に溶け込み男に近づいていく

男とすれ違う

少しだけAと目が合った

その一瞬を逃さなかった

少しだけ目を細め色っぽく笑顔を作り、挑発するように視線を送れば男はAから目を離せなくなる

横を通り過ぎた時、Aのポケットからリップが落ちた

もちろんAを目で追っていた男はそれに気づいて、他の人に拾われないよう急いで拾ってAに声をかけた

「なぁ、落としたぞ」

もちろんAの罠

それを知る由もない男は振り返ったAを見てさらに鼓動を早くする

揺れるその黒髪が、透き通る青眼が男を刺激する

『あら、落としたのね。気づかなかったわ

　ありがとう、とても気に入ってる物なの』

「あぁ、よかったよ」

『塗り直したいけど、鏡がない…

　ねぇ、よかったらだけど、』

Aの手がリップと男の手に触れる

リップを取ると思いきやそれをまた男の手に中に戻した

『塗り直してくれない？あなたが』

どんなに鈍感なやつでもわかる

これは誘っているのだと

男はリップを握りAに顔を近づけた

「…俺がやってやるよ」

『ふふ、よかった

　あそこに車を停めているの。中で、ゆっくり丁寧に、してくれる？』

Aに促されるまま男は車に近づく

ハンたちの乗った車だ

『待ってね、鍵を開けるわ』

バッグの中を探るA

男はその横顔、露出した肌を我慢もせずにジロジロと見ていた

Aが車の窓を2度ノックした時

後部座席が開き男が中に引きづり込まれた

「なっ、なんだ、お前ら！！」

ﾛｰﾏﾝ「エサが自らやってきたな」
ﾃｽﾞ「ちゃんと抑えとけ、拘束する」

『ダメじゃない、知らない女についてきたら

　それにスモーク加工されてる車に何の疑いもないなんて、呆れちゃう』

運転席に乗り込んで男に話しかける

男は怒りながらもこの後何が起こるのかという不安に顔を青くした

『口も塞いでおいて』

ローマンがテープで口を塞ぎ、テズがロープで男を縛った

ﾊﾝ「誘うのが上手だな」

『慣れよ』

そう言って車を発進させる

ﾊﾝ「俺まで誘われている気分になった」

『褒めてもらえて嬉しい』

ﾊﾝ「驚いた

　君はどちらかと言うと日本人寄りだから幼く見えるが、そこらの女とは比べ物にならないほど魅力的だったよ」

ﾛｰﾏﾝ「おい、俺らもいるぞ。何口説いてんだお前」

『口説いてるわけじゃないでしょ』

ﾃｽﾞ「どうだかな」