勇気と慈愛 tri Ⅱ (ページ39)

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大好きを全身で言ってくるように抱きつかれて俺だって我慢することに必死

なのにAは『抱きしめ返してくれないの？』と甘えてくるからもう耐えられない

腕を回してぎゅっと力一杯抱きしめたら可愛い声を出した

「Aって実は甘えたがりだよな」

『そうかな？』

小学生の時はしっかりものお姉さんって感じです空と一緒にみんなを支えてくれていた

だけど実は寂しがりやで甘えん坊

甘えるのは甘えてもいいって思った相手だけ

きっと昔から1人で過ごして来たってことが関係しているんだろうな

あのお父さんだったら甘えられないだろうし

『甘えたら嫌？』

「俺だけにだったら大歓迎」

彼氏だし

お兄ちゃんみたいなもんだからってヤマトに甘えたりしないで俺だけに甘えて欲しい

「明日、同棲のことも含めてお父さん説得するから」

『こんなに頼っていいの？』

「俺の願望だから

　Aが欲しいし一緒に暮らしたいし、その邪魔をしないでくれって頼むだけ」

『太一くんってサラッと照れること言うよね』

「まぁ、好きな子が俺の言葉で照れてくれたらいいなって思ってはいる」

『わざと？』

「わざと

　ふぁ…そろそろ寝ようぜ」

『ん、眠くなって来た』

Aは布団の中で俺の手を握る

「どした？」

『安心させて
　太一くんに触ってるとすごく安心できるの』

「いいよ」

俺もAの手を握り返しぐっと引き寄せた

「たくさんくっついて、もっと安心して」

好きな女の子から安心すると言われて嬉しくならないはずがない

『ん、ありがとう』

「、、、もっと安心させたい」

もっと触れたい

もっとくっついていた

『もっと？』

「もっと近づきたい」

俺の言いたいことが分かったのか

俺の目をじっと見つめてくる

「目、閉じてて」

『うん』

軽く触れて離れるだけのキスなのに

安心感、満足感、幸福感で包まれる

「おやすみA、」

『おやすみ太一くん』

向き合って笑い合って

幸せな気持ちに包まれて、

今までで1番よく眠れた日だった