勇気と慈愛 tri Ⅱ (ページ25)

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2人で話していると

またベランダのドアが開く音がして

2人で振り返ればそこには望月が立っていた

ゲームしてたんじゃなかったのか？

『メイコちゃん、どうしたの？』

ﾒｲｺ「少し、ゲームに疲れてしまって…」

目を逸らして何かを言いたそうに俺を見た

それはAも感じ取ったみたいで

『私、中に…』

ﾒｲｺ「待ってください！」

珍しく大きな声を出した望月

Aも足を止めて驚いたように望月を見た

ﾒｲｺ「私っ、帰る前にしっかりと、その

　ケジメを、つけたくて…」

俯いていた顔をあげて俺を見た

その目を見て何と無く察した

うるんで少しばかり熱をもった瞳

望月の顔を見てAも何と無く察したのだろう

少し横を見れば不安そうな顔をしていた

ﾒｲｺ「私…

　私、太一さんのこと、、、

　好き、です…」

呟くような小さな声で発せられた言葉は

俺にもAにも届いた

ﾒｲｺ「ごめん、なさい…

　分かってます、振られるって、

　だけど、
　どうしても伝えたかった

　いつも勇気あふれる太一さんが、みんなを引っ張ってくれる太一さんが、

　私の憧れで、欲しい言葉をくれる太一さんのことが、

　好き…」

泣きそうな表情で俺を見る望月

俺、なんて声をかけたら…

ﾒｲｺ「困らせてますよね…

　だけど帰る前にどうしても伝えたくて、
　太一さんがAさんのことをとても大切にしていることも知っています

　だからしっかりとAさんの前で振って欲しいんです」

勇気出さないと、メイちゃんに怒られちゃう

そう言って微笑んだ

望月の勇気に俺も応えねえと

ﾀｲﾁ「ありがとう、伝えてくれて

　それと、ごめん
　俺、Aが好きだ

　だから望月の気持ちには応えてられない」

まっすぐと伝えると

望月は少し間をおいてから安心したように笑った

ﾒｲｺ「ありがとうございます

　これでなんの心残りもなく帰れます

　Aさんも、すいません…」

『謝らないで、

　ありがとう
　私もいたんじゃ言いにくかったのに、伝えてくれて

　優しいねメイコちゃん
　私と太一くんのこと考えてくれたんだよね』

ﾒｲｺ「太一さんのこと好きですけど、Aさんのことも好きなんです

　私が原因でお2人がすれ違うのは嫌なんです

　それじゃっ、私は戻りますね！」