第 13 話 。 ページ14
.
と｢ただいまー｣
｢ただいまっ…｣
と｢Aちゃん？ほら。｣
玄関先で立ち止まる私に手を差し伸べてくれるとしみつさん。
その手を掴んでぎゅっと握るとそれに応えるかのようにぎゅっと握り返してくれる。
(ガチャ)
り｢おかえりっ｣
｢ただいま｣
虫｢大丈夫？｣
｢うん、ごめんなさい…。｣
て｢なんも謝らんでいい、ここにはお前を傷つけるやつはおらんから｣
虫｢うわ、てつやのくせに発言がイケメンだ｣
て｢もー、今めっちゃいいこと言ったのに！w｣
2人がじゃれあってその場の皆が笑顔になる。
もちろん私も。
ふと、りょうさんと目が合ってニコッと微笑まれる。
り｢Aちゃん、どうしたいか意見はまとまった？｣
あまりにも優しい口調で聞いてくるから、そんなちょっとした事でまた泣きそうになる。
りょうさんのその一言で皆の視線が私に集まって握ったままのとしみつさんの手をまたぎゅっと力強く握ってしまう。
痛いかもしれないくらい強くぎゅっとしたのに、彼は私に微笑みかけてくれた。
と｢大丈夫、大丈夫だげ。な？｣
｢うんっ…！｣
｢あの…、私、義手ほしいですっ…！
こんなこと、お願いしてもいいのか分からないんだけど…｣
下を俯いてまたとしみつさんの手をぎゅっと握る。
て｢だーっ！だめなわけなかろう！w｣
り｢そうだよ、まだ信じるのは難しいかもしれないけど俺らは本気でAちゃんのこと助けたいと思ってるから。｣
ね？と優しく微笑んで私の背丈に合わせて屈んでくれるりょうさん。
優しいこの笑顔が私は大好き。
虫｢僕らに遠慮しなくていいからね？｣
頭をぽんと撫でてくれる虫くん。
いつも優しくてその優しさに触れる度に泣きそうになってしまう。
て｢また泣きそう…！｣
虫｢涙脆いにも程があるよ？w｣
いつも私より先に泣いてしまうてつやさん。
何かの本に書いてた気がする、人の悲しみや辛さを分け合える人は心の底からいい人だって。
と｢な？大丈夫だって言ったろ？｣
微笑みながら私の手を離さずに慰めてくれるとしみつさん。
いつも一番近くで私を助けてくれる。
優しくて温かい。
遠回しじゃ何も伝わらない私にちゃんと直球に教えてくれる。
不器用だけどいつもちゃんと優しい。
｢みんな…。｣
全員｢んっ？｣
｢あの…、ありがとう…！｣
そう言うと皆が微笑んでまた泣いてる私を慰めてくれるんだ。
ｰｰｰ
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作者名：葉。 x他1人
作成日時：2018年7月10日 18時
